NTTが「IOWN」の国際団体 インテル、ソニーと100倍の省電力・低遅延・高速化

2030年をめどに新たなコミュニケーション基盤「IOWN(アイオン)」の実現を目指すNTTは2019年10月31日、業界団体「IOWN Global Forum」を設立すると発表した。設立メンバーはNTT、インテル、ソニーの3社。今後、この3社で他のボードメンバーを選定し、メンバー企業を広く募っていく。本拠地は米国に設置し、グローバルに活動していく。

「IOWNが目指す世界を実現するためには、NTTだけではない、広範な知見や技術が必要になる」。IOWN Global Forumの設立理由について、NTT 研究企画部門 R&Dビジョン担当 担当部長の岩科滋氏はこう説明した。

NTT 研究企画部門 R&Dビジョン担当 担当部長 岩科滋氏
NTT 研究企画部門 R&Dビジョン担当 担当部長 岩科滋氏

IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)は、NTTが2030年頃の実用化に向けて推進している次世代コミュニケーション基盤の構想。その最大の特徴は、ネットワークから端末までをエンドツーエンドで光化する「オールフォトニクス・ネットワーク」を目指していることだ。

オールフォトニクス・ネットワークの概要
オールフォトニクス・ネットワークの概要

これまで主にネットワークで使われてきた光技術を、端末やサーバーでの情報処理にも適用。具体的には、デバイス内のチップ間やメニーコアチップ内のコア間の伝送、チップ内の信号処理なども光化することで、光から電気への変換処理を不要にし、低消費電力や低遅延を実現する。

また、ネットワークにおいても、異なるサービスを1つの光ファイバーの異なる波長に割り当て、大容量・高品質化を図る。

NTTはオールフォトニクス・ネットワークの目標性能として、低消費電力、低遅延、大容量・高品質の3項目それぞれについて、約100倍の向上を掲げている。

オールフォトニクス・ネットワークの目標性能
オールフォトニクス・ネットワークの目標性能

AIなどを高度に活用したスマートな社会を実現するうえでは、「それを支える電力が大きな課題になっている」と岩科氏は指摘。さらに「自動運転における大量の車両の動きを瞬時に認識・判断して制御するためには、遅延やゆらぎのない通信が必要」「五感+αの臨場感の体験には、膨大な情報の相互通信が必要」などと述べ、「エレクトロニクスからフォトニクスの世界にシフトすることで、これらの社会課題を解決したい」とIOWNの意義を同氏は説明した。

NTTはエレクトロニクスからフォトニクスへの世界のシフトを目指す
NTTはエレクトロニクスからフォトニクスへの世界のシフトを目指す

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