KDDI総合研究所は2018年5月21日、仮想化技術を用いた基地局のスライシング技術を開発し、サービスの要求に応じて最適なネットワークを構築する技術の実証に、プロトタイプの装置を用いて世界で初めて成功したと発表した。
KDDI総合研究所が開発したのは、仮想化技術により、vBBU(仮想BBU)が担う基地局機能をサービスに応じて柔軟に選定するだけでなく、vBBUを最適に配置する基地局スライシング技術。
vBBUの配置場所はアプリケーションに与える遅延量や収容端末数等のネットワーク性能と強く関係しており、その最適化により5G時代に想定される多様なサービスの要求品質にきめ細かく対応可能になるという。
また、米Cavium社と協力し、オープンソースを用いたプロトタイプ装置を開発。サービスの要求に応じて最適なネットワークを構築する技術の実証に成功した。
仮想化基地局スライシング技術イメージ
実証では、IoTサービスとしてセンサデバイスの通信(スライス1)とブロードバンドサービスとしてビデオストリーミング送信(スライス2)の2種類を使ったデモを行い、スライス間で互いに干渉することなく動作可能であることを確認し、実現性を示したとのこと。スライスはソフトウェア制御により容易に設定・変更できるため、新規サービスの迅速な導入やユーザーニーズに合わせた柔軟な運用が実現できるという。
仮想化基地局スライシング技術の概要
KDDI総合研究所は今後、今回開発したプロトタイプ装置を拡充し、サービスに応じて自動的に基地局機能の配置および選択を可能とする機能を追加して、実用化に向けた研究開発や標準化を進めていくとしている。
なお、今回の成果は、5月23日~25日に東京ビッグサイトで開催される「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2018」で展示される。