LTEはモバイルキャリアが提供するもの――。こんな“常識”は2020年までに過去のものとなっているかもしれない。2018年から「自営LTE」の本格導入が可能になると見込まれているからだ。
「自営LTEのニーズが台頭してきた。具体的に動き出したいと考えているお客様も多い」。ノキアソリューションズ&ネットワークスでプライベートLTEのソリューションマネージャーを務める霜越潔氏によれば、すでに自営LTEの導入を検討し始めた国内の企業・団体も現れている。
私たちがスマートフォンなどで利用しているLTEネットワークは、モバイルキャリアがLTE基地局を設置し、通信サービスとして公衆向けに提供しているものだ。しかし、自営LTEは、Wi-Fiなどと同じように企業は自らの業務ニーズに応じて自由に基地局などを設置し、プライベートなLTEネットワークを構築できる。
自営LTEは2018年にも始動この自営LTEを実現する方法はいくつかある。日本での商用化が見込まれているのは、①1.9GHz帯の「sXGP(shared eXtended Global Platform)」、②900MHz帯自営用移動通信システムへのLTE技術導入、③2.4GHz帯や5GHz帯を利用する「MulteFire」だ。
現時点では、①sXGPが商用化に最も近い。2017年10月1日の省令改正を受け、2018年1月にはARIB(電波産業会)の標準規格が固まる予定で、法的にsXGPが利用できるようになる。sXGPを策定したXGPフォーラムは、製品の相互接続試験などに向けた準備を急いでいるところだ。また、同団体によれば、すでに市場に出回っているLTE対応のスマートフォンや通信端末をそのままsXGPで利用できるようにするため、sXGPの無線装置(LTE基地局)側で端末側の送信電力制御などを行うような機能を盛り込むという。
sXGPの次は、②900MHz帯自営用移動通信システムへのLTE技術導入だ。2017年9月27日に総務省が情報通信審議会へ諮問しており、答申は2018年3月頃になる見込み。総務省は答申を受け次第すみやかに省令の改正を行うとしている。
最後の③MulteFireは、法整備に向けた具体的なスケジュールはまだ見えておらず、調整にもう少し時間がかかりそうだ。しかしながら、企業ユーザーの関心は高く、霜越氏は「ノキアとしては、日本の周波数に対応した無線装置を2018年後半にも準備したいと考えている。その頃には、日本国内でもMulteFireのトライアルが始まるのではないか」と語る。