メールやチャットなど企業におけるコミュニケーション手段が多様化しているが、そうした中でも必要不可欠なツールであり続けているのが「電話」だ。
PBX/ビジネスホン市場は近年、ほぼ横ばいで推移している。一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)の「通信機器中期需要予測[2016-2021年度]」によると、2015年度の国内PBX市場は対前年度比4.1%減の287億円、ビジネスホン市場は同1.4%増の422億円だった(図表1)。
図表1 国内PBX/ビジネスホン市場予測の推移[画像をクリックで拡大]
クラウド上にあるIP電話サーバーでPBX機能や内線機能を実現するクラウドPBXは、特にコストメリットへの期待から企業の関心が高まっているが、一定の年数が経過するとトータルコストではオンプレミスの方が優位になるケースが多い。PBXベンダーの中にはオンプレミスとクラウドの両方を提供しているところもあるが、今までのところクラウド化の影響を大きく受けることはなく、オンプレミスがシェアの大部分を占めている。「PBXを扱う販売店も、導入する企業もクラウドに大きく舵を切ることは難しく、今後もオンプレミス優位の状況が続くだろう」というのがPBXベンダーに共通する見方だ。
このようにPBX/ビジネスホンは大きな変動のない市場だが、だからといって旧態依然のままというわけではない。「働き方改革」やIoT、人工知能(AI)といった世の中の変化に合わせ、機能拡張が進んでいる。ここからは、PBX/ビジネスホンの最新動向を紹介する。