LoRaパビリオンでは、標準化団体LoRaアライアンスによる「920MHz帯のLoRaWAN」を展示する企業が多いなか、独自プロトコルの「429MHz帯/150MHz帯のLoRa」を展示しているのは、1974年設立のサーキットデザインだ。
まず、「429MHz帯のLoRa」は、ブース説明員によれば、「920MHz帯より低い周波数帯のため、電波がよく回り込む。データスピードは遅いがメリットも大きい」という。
「429MHz帯のLoRa」のパネル |
送信できるデータ量は最大256バイトだが、フルに256バイト送ろうとすると、送信時間が長くなってしまう。そのため、やはりセンサーなどの少量データを送信するために利用するのが適しているそうだ。
利用シーンとしては、マンホール内のセンシングデータを取得することなどを同社は想定している。「マンホールの隙間などから電波がにじむ」ようなイメージで429MHzならではの回折性が威力を発揮し、電波がマンホール内にも届く。サーキットデザインは、429MHz帯のLoRa用通信モジュールを2017年6月から提供する予定だという。
次に、「150MHz帯のLoRa」は、サーキットデザインが現在開発中のシステムだ。
「150MHz帯のLoRa」のパネル |
150MHz帯は電波法上、動物の生態調査用に割り当てられた周波数帯だ。例えば、サルの生態調査をする際、サルに首輪を取り付けたりする。その首輪に、GPSと150MHz帯の通信機能を取り付けて、サルがどのあたりにいるかなどを可視化していた。
しかし、「最近になり、人間にも使っていいことになった。人間であれば、例えば登山者の位置情報の把握に使えるのではないかと考えている」(説明員)という。
登山者に持たせるデバイスの試作機 |
150MHz帯は、429MHz帯と比較して回り込む特性がさらに強まるほか、出力できるパワーがアップする。429MHz帯は10mWであるのに対し、150MHz帯は最大1Wまで出力可能。そのため、1つの基地局あたりのカバレッジは広くなり、山全体をカバーすることができる。
同社は今後の商用化に向けて、準備を進めているという。