世界中に張り巡らせた「自前ファイバー」と、それを基盤とした「広帯域」をウリに法人向けネットワークサービスを展開するColtテクノロジーサービス。同社は2017年3月1日に記者説明会を開き、今後の設備増強に関する計画と2017年度に開始予定の新サービスなどについて発表した。
Coltテクノロジーサービス代表取締役社長の日置健二氏(左)と、
Colt 最高技術責任者(CTO)のラジーヴ ダッタ氏
Coltは2016年10月に、日本国内のネットワーク基盤を刷新・増強すると発表(詳細はこちらの記事を参照)。東京と大阪の拠点数を1.5倍に増強し、通信容量を10倍以上に拡大。また、東京・大阪間のバックボーン増強などを進めてきた。
同様の設備投資は欧州および日本以外の東・東南アジアでも進めており、今回、香港とシンガポールで新たに大規模な投資を行うと発表した。
シンガポール/香港の商業エリアに自前ネットワーク
シンガポールについては2017年4月から、金融機関や日系企業が集中するCBDエリア等に自前の光ファイバー・メトロエリア・ネットワークを構築する。代表取締役社長の日置健二氏は「金融機関をはじめ、セキュリティや信頼性に特に敏感なお客様に高品質なサービスが提供できるようになる」と話した。シンガポールの約90%の商業ビルをカバーできるという。
香港でも2017年7月1日にサービスを開始する。こちらも商業エリアに自前ネットワークを構築し、商業ビルの約80%をカバーする。
また、これら主要都市のメトロエリア・ネットワークの構築に加え、都市間をつなぐ自前の海底ケーブルも同社の差別化ポイントだと日置氏は強調した。「超低遅延ルート」「標準ルート」「バックアップルート」と、品質・経路、用途の異なる複数ルートを確保して顧客企業のニーズに応える。また、広帯域化も当然進めており、アジアの主要都市で100G以上の容量を提供する。
東アジア主要都市をつなぐ自前の海底ケーブル
同社がこうした大規模投資を進める理由について日置氏は、「トラフィックが増加し、広帯域化していくことはもう見えている。10G、100Gのサービスを競争力のある価格で提供していくため、新しいテクノロジーに転換していく。他のキャリアに先駆けてシェアを取っていく」と語った。
広帯域化のトレンドについては、Coltで最高技術責任者を務めるラジーヴ ダッタ氏が「クラウドへの移行やワイヤレスバックホールなども含め、すべての面で広帯域への移行が加速している」と説明。実需としてもすでに100Gサービスが急激に伸びており、Coltの「ネットワーク基盤全体のアップデートを現在進めており、100Gに最適化している」という。
また、ネットワーク基盤を刷新・増強するにあたっては、SDN(Software-Defined Networking)やNFV(Network Functions Virtualization)といった新技術も積極的に取り込んでおり、「インテリジェントなサービスを提供できるプロバイダーになっていきたい」とも日置氏は語った。
インテリジェントなネットワークの提供をコンセプトとする新ブランド「Colt IQ Network」
今回の説明会では新ブランドとして「Colt IQ Network」も発表。欧州ではすでに昨年から、SDN/NFV技術を使って、ユーザーがオンデマンドに帯域や機能を変更できるサービスを提供し始めているが、2017年には新ブランドの下、アジアでも同様のサービスを展開する計画だ。。