LTEの網機能をWi-Fiデバイスで利用できる新しい通信システムの提供が、2017年4月から始まる。
それは、米エヌコアコミュニケーションズが開発した「LTE over Wi-Fi(以下LoW)」という技術を用いるシステムだ。公衆無線LANやMVNO事業を手掛けるワイヤレスゲートと投資会社のモバイル・インターネットキャピタルが10月に設立した新会社、LTE-Xが事業化を進めている。
LoWは、Wi-FiデバイスとWi-Fiアクセスポイント(AP)の双方にエージェントソフトを導入し、これらを仮想的な「LTE端末」と「基地局」として動作させる技術だ(図表)。デバイスとAPの間の通信はあくまでWi-Fiで行われるが、そのパイプの中でLTEの伝送フレームがやりとりされる。
図表 LTE over Wi-Fiを活用したネットワークの構成例[画像をクリックで拡大] |
LoWのエージェントを搭載したAP(基地局)は、Wi-Fiデバイス(LTE端末)の通信を集約し、LTE-Xが構築するLTEのコアネットワーク(EPC)に受け渡す。例えば、企業が利用するAPにエージェントを導入し、そこからの通信をインターネットVPNなどでEPCに収容すれば、LTEの網機能をWi-Fiデバイスで利用できるようになる。
LTEの網機能として、同社はまず、高度な認証を手軽に実現できる「SIM認証」、QoSの確保を可能にする「優先制御」といった機能を提供し、セキュアで高速なIoT通信を実現するソリューションとして展開していく。
LTE-XCTOの嶋尾基樹氏は「帯域制御などの機能の設定は、PCからお客様自身の手で行えるようにすることを考えている」という。企業が自らEPCを構築して独自のシステムを運用することも可能になる。