「やはり、ここ1年で、パブリッククラウドの利用は非常に進展した。すでに国内企業の半分、54%がハイブリッドクラウド環境に移行している」。こう語るのは、KDDI ソリューション事業企画本部 ネットワークサービス企画部 ネットワークサービス企画 4グループリーダーの内川亘氏だ。
KDDIは9月26日、広域ネットワークサービス「KDDI Wide Area Virtual Switch 2」(以下、WVS 2)の機能拡張を発表したが、その狙いは当然、このように急速に進展するハイブリッドクラウド化への対応強化にある。
KDDI WVS 2の新機能 |
機能拡張のポイントは大きく3つだ。まずは「クラウド閉域接続の機能拡張」である。WVS 2では以前からパブリッククラウドとの閉域接続サービスを提供しているが、最大帯域が従来の100Mbpsから1Gbpsに拡大する。また、クラウド閉域接続についても、トラフィックレポートの表示が可能になる。
クラウドとの閉域接続における上限帯域が従来の100Mbpsから最大1Gbpsに |
新機能の中で「一番大きな目玉」(内川氏)となるのは、2つめの「トラフィックフリー機能の拡張」だ。トラフィックフリーの対象となる接続先は従来、KDDIおよび同社の提携データセンター、そしてKDDIのクラウドサービス「KDDI クラウドプラットフォームサービス(KCPS)」だった。
しかし新機能の「トラフィックフリー機能Ⅱ」では、AWS、Azure、SoftLayerの3つのパブリッククラウドに加えて、プライベートクラウド環境がある任意の事業所などもトラフィックフリーの対象になる。
なお、トラフィックフリーとは、データセンターなどプラットフォーム向けの通信に限って帯域をバーストする機能。例えば、拠点の契約帯域が1Mbpsであれば10Mbps、10Mbpsであれば100Mbpsにバーストされる。また、これまでは最大100Mbpsまでのバーストだったが、トラフィックフリー機能Ⅱでは物理インターフェースが1Gの場合は300Mbpsと最大帯域も拡大する。
企業にとっては、WANの契約帯域を増やすことなく、つまりネットワークコストの増加を抑制しながら、ハイブリッドクラウド環境へ移行可能になることが、トラフィックフリー機能Ⅱのメリットだ。
パブリッククラウドや任意の拠点についてもトラフィックフリー対応に |
そして3つめの機能拡張は、「オンデマンド変更機能の拡張」だ。ネットワークの設定・変更がすべてブラウザからオンデマンドに行える新しいアクセスメニューをラインナップする。このため従来以上に、設定変更などを迅速かつ柔軟に行えるようになるという。
オンデマンド変更機能の拡張 |