不動産仲介事業の「三井のリハウス」や駐車場事業の「三井のリパーク」などで著名な三井不動産リアルティ。全国売買仲介取引件数で29年連続No.1(※新聞報道等による)の実績を持つ業界のリーディングカンパニーだ。2015年3月にはカーシェアリング事業にも参入し、さらに活躍のフィールドを広げている。
その三井不動産リアルティが、iPhoneを活用し始めたのは2年前のこと。2013年3月にKDDIのiPhone 4Sを約3500名の総合職社員に貸与した。以来、社内メールやスケジュールをいつでもどこでも閲覧したり、「KDDI ビジネスコールダイレクト」によりiPhoneを内線電話として活用したり、iPhoneは同社の業務に必要不可欠なツールとなっている。
ただその一方で、「導入から約2年が経過し、大きく2つの課題も発生していました」と情報システム部 システムグループ グループリーダーの齊藤宜史氏は話す。
情報システム部 システムグループ グループリーダー 齊藤宜史氏 |
情報システム部 システムグループ 主査 青木健太郎氏 |
1つはiPhone 4Sに関する課題だ。
「バッテリーの消耗が進み、フル充電でも1~2日しか持たなくなった」「FaceTimeなど、iOS 6のiPhone 4Sではサポートされない機能やアプリが出てきた」といった課題に加えて、決定的だったのは、iPhone 4Sの入手そのものが困難になっていたことだ。
「故障時の交換用や新入社員用にiPhone 4Sを入手したくても、在庫はもうありません」(齊藤氏)
アプリのインストールに「1週間」
もう1つの課題は、当時利用していたMDM(モバイルデバイス管理)ツールに起因するものだ。三井不動産リアルティでは、社員が勝手にアプリをインストールできないように、MDMの機能を活用してApp Storeを非表示にしていた。
しかし当然、アプリのインストールが業務上必要なことはよくある。例えば、水準器のような現場で役立つアプリや営業支援システムのアプリ、顧客向けに同社が提供している三井のリパークのアプリなどだ。
そこで、アプリのインストールが必要な際には、情報システム部に申請するルールとなっていたが、申請からインストールが完了するまで「どんなに頑張っても1週間はかかっていました」(齊藤氏)という。アプリのインストールを行うには、次のプロセスが必要だったからである。
まずは、管理者からApp Storeの非表示を解除するポリシーが設定されたプロファイルを対象のiPhoneへ配信。続いて、利用者側でプロファイルの受け入れ操作を行うことでApp Storeにアクセス可能にし、利用者自身でアプリをApp Storeからインストールする。
そして、対象のiPhoneでアプリのインストールが終わったら、管理者は今度はApp Storeを再び非表示にするプロファイルを配信し、利用者側で受け入れ操作を行うといった具合である。確かに非常に煩雑だ。
4月には約200名の新入社員が入社してくるが、iPhone 4Sはもう手に入らない。また、MDMを変更するのであれば、それは機種変更のタイミングしかありえない。2015年2月、三井不動産リアルティは、iPhone 6への機種変更とMDM刷新の検討を本格的にスタートする。