NTTは5月15日、2015年3月期決算を発表した。営業収益は11兆953億円で、グローバル・クラウドサービスの拡大を軸に1701億円の増収で5期連続の増収を実現したが、営業利益は1兆846億円で、新料金プランの導入で大幅な減収となったドコモの落ち込みを受けて1291億円の減益となった。
併せて発表された2016年3月期の業績予想では、過去最高益となる営業収益11兆3500億円、営業利益1兆2000億円の見通しを出した。引き続きグローバル・クラウドサービスの伸びが堅調なことと、ドコモの回復、NTT東西の回復が進む見通しであることを要因とした。
鵜浦社長は、2014年度事業については、減収要因となったがドコモの新料金プランの導入は必要なことであったと意義を確認し、併せて光コラボなどの新しい取り組みを行った意義を強調した。
決算発表を行う鵜浦社長 |
新中期目標で利益成長を重視
また、新中期目標「新たなステージをめざして2.0」を発表した。
これまでの、「グローバルビジネスの礎を築き成長の柱にすえる」「コラボレーションによる新たな競争のステージへ」「2020、地方創生を契機とした高付加価値サービス/ビジネスモデル創出へのチャレンジ」に踏まえて、基本的な考えとして「①バリューパートナーへの自己変革を加速し利益成長軌道へ」「②B2B2Xモデルをさらに推進し新たな市場を開拓」「③EPS成長目標を再設定(700円以上)」の3つを打ち出した。
2018年3月期の財務目標として、EPS成長として一株当たり利益700円以上を目指すとしている。2015年3月期との比較では48%増の高い目標となる。
柱となるのが海外売上で、営業利益を2015年比で倍増するとしている。他方、国内事業は大きな伸びが見込めないなかで、コスト削減を進め今後3年間で6000億円以上を見込んでいる。うち半分がドコモで、NTT東西も実施する。
この日発表されたグループ会社の決算では、NTT東日本が営業収益1兆7654億円で83億円の減収にも関わらず、営業利益が増収431億円で、過去最高益1098億円を達成したのが注目された。設備投資の圧縮と利益率の高いサービスへのシフトなど利益重視の経営への転換に踏み出したという。
NTT西日本も、営業収益は153億円減収の1兆5742億円だが、営業利益は192億円増の356億円で減収増益となった。
注目された光コラボの進捗は、5月11日段階で、NTT東が新規8万、転用66万、NTT西日本が新規4万、転用23万と発表された。いずれもまだ立ち上がり途中なので、想定内の数字としている。
NTTコミュニケーションズは、海外を含めた営業収益では増収の1兆2634億円となったが、営業利益では国内通信の落ち込みを埋めきれず81億円減益の1198億円となった。来期も海外データセンターの建設が続くことから増収減益の基調は変わらないとみている。