9月4日に開催された「ワークスタイル変革Day 2014」で講演を行ったレコモットの東郷剛氏。同氏によると、スマートデバイスを業務利用する最大の目的は、ビジネスアプリを安全に使うこと。そして、その際に必要となるのは、MDMではなくMAMだという。
レコモット 代表取締役CEO 東郷剛氏 |
もっとも、東郷氏はMDMを完全に否定しているわけではない。企業が社員にスマートデバイスを支給する場合には有効なツールであることを認めている。
「しかし、その場合でも、リモートワイプ(遠隔データ消去)のためにMDMを導入するのは正しい方法ではない。例えば、ワークスタイル変革のために有効とされるBYOD(私有端末の業務利用)でリモートワイプを行うと、個人の情報まで消してしまうことになる。そもそも企業の情報資産を端末に残すことが前提になっていること自体がおかしい」と指摘する。
操作性に優れ、端末にデータが残らない「moconavi」
東郷氏によると、MAMは大きく4つのタイプに分けることができるという。
MAMは大きく4つのタイプに分けることができる |
1つは「MDM系MAM」で、個人の領域は無視してビジネスの領域だけを監視し、必要があればリモートワイプを行うもの。MDMと一体化して提供される。
メールやカレンダー、Webブラウザなどといったアプリがすべて分かれており、それぞれのアプリのコントロールとデータのリモートワイプが行えるが、デバイスにデータが残り、リモートワイプ自体の成功率が低いことが弱点になるという。
2つめは「セキュアブラウザ型ソリューション」だ。メールやカレンダー、アドレス帳などをすべてHTMLコンテンツに変換したうえで、端末にデータを残さないセキュアブラウザで閲覧する。レスポンスや操作性に難があるだけでなく、きちんとログアウトしないとデータが残ることもあるという。
3つめは「シンクライアント型MAM」である。Windowsをシンクライアントで操作するため、端末にデータが残らず、セキュリティ強度の面では優れているが、用途は限られる。「例えば、iPhoneのネイティブのメーラーでメールを読むのと、Windowsの画面上でMicrosoft Outlookを開いてメールを読むのではどちらが見やすいか。一目瞭然だ」と東郷氏。タブレット端末にキーボードを付けて、マイクロソフトのOfficeを操作するといった場合であれば利用価値は高いものの、それ以外の用途では使いづらいのが欠点だという。
4つめはレコモットのMAM「moconavi」である。メールやカレンダー、セキュアブラウザなどの機能を持つ専用アプリが用意されているため操作性が高く、しかもmoconaviなら端末にデータが残らない。このため当然、リモートワイプを行う必要もない。
また、「通信経路は暗号化され、VPNや通信キャリアの閉域網にも対応する。個体識別番号認証によって利用デバイスを特定することも可能だ」と東郷氏は胸を張る。さらに、ジェイルブレークやroot化された端末は社内システムに接続できない仕組みも取り入れている。