日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2013年10月17日、小規模拠点からデータセンターのコア向けまでのフルラインナップをもって、国内ルーター市場に本格参入すると発表した。
日本ヒューレット・パッカード HPネットワーク事業本部 事業本部長 多田直哉氏 | 日本ヒューレット・パッカード サーバー&ネットワーク製品統括本部 インダストリスタンダードサーバー・ネットワーク製品本部 HPネットワーク製品企画部 深川佳公氏 |
HPネットワーク事業本部長の多田直哉氏によると、HPのエンタープライズ向けネットワーク機器市場における世界シェアは、スイッチで2位、ワイヤレス(無線LAN)で3位、そしてルーターでもシェア11.7%で2位を獲得している。
HPのルーター市場でのシェア |
また、IDCの調査では、2013年の国内ルーター市場は1255億円。2017年までの成長率を見ても、スイッチの1.5%に対してルーターは9.0%と、ルーターは成長市場となっている。
国内エンタープライズルーター市場の動向 |
ところが今現在、HPが日本国内で販売しているルーターは1機種のみだ。「パートナーや顧客から、日本でもルーターを出してほしいという話は多数頂いていた」(多田氏)そうで、ついに今日の発表となった。
「他社の8倍以上のコストパフォーマンス」
日本HPが今回投入するルーターは、データセンターやキャンパスコア向けの「HP HSR Router」と、ブランチオフィスからキャンパスコアまでを担う「HP MSR Router」の2つのシリーズで構成される。
日本HPのエンタープライズ向けルーターのラインナップ |
「信頼性・耐障害性に優れたハイパフォーマンスサービスルーター」と紹介されたHSRは、シャーシ型のHSR6800と2Uのモジュール型のHSR 6600からなる。特徴として挙げられた信頼性・耐障害性については、「コントロールプレーンとデータプレーンが独立しており、コントロールプレーンが故障しても、データをフォワーディングが行える」のが一番のポイントだと深川佳公氏は説明した。MPUと電源の冗長化にも対応している。
HP HSR Routerシリーズの概要 |
一方、MSRについては、コストパフォーマンスの高さが特に強調された。1万円当たりのパケット処理能力を他社製品と比較すると、小規模拠点向けで3倍以上、中規模拠点向けで8倍以上のコストパフォーマンスを実現しているという。なお、コストパフォーマンスの良さは、HSRに関しても言えるとのことだ。
また、HSRとMSRはともに追加ライセンス不要で、すべての機能が標準で使えるようになっている。この点も、優れたコストパフォーマンスの良さにつながるとのこと。
1万円当たりのパケット処理性能の比較 |
MSRは、モジュール型のMSR4000/3000/2000とボックス型のMSR930が用意されている。モジュール型のほうは最大20Gbpsのスループットで、2~4個の1Gポートを標準で実装する。コンビニやガソリンスタンド、ファストフードなどの店舗展開用に最適だというボックス型のMSR930は、WAN×1、LAN×4の1Gポートを搭載し、Webブラウザによる簡単設定に対応する。