ガートナー ジャパンは2013年10月16日、記者向けのラウンドテーブルを開催。米ガートナーのバイスプレジデント兼最上級アナリストであるケン・デュレイニー氏が「ポストPC時代のエンタープライズ・モバイル戦略」と題してモバイルの動向について語った。
「中国はAndroid、日本と米国はiOS、欧州は半々くらいになっていくだろう」と地域差はあるものの、「iOSとAndroidが世界のどこを見ても主流になっている」のが今のモバイルの世界である。凋落したBlackBerryとノキア、なかなか成長軌道に乗れないマイクロソフト、そしてまだまだ将来性は未知数のFirefox OS……。AndroidとiOSの2強時代は揺るがないようにも見える。
ガートナーによる2015年のプラットフォーム・トレンド。上がハンドセット、下がタブレットでそれぞれ地域別にシェアが予想されている |
しかし、デュレイニー氏は「今後成功する余地があるOSは3つある」と、モバイルOSをめぐる椅子取りゲームの椅子の数は2つではなく、3つだと指摘する。1つめと2つめを確保するのはもちろんiOSとAndroid。問題は3つめの行方だが、「今はまだシェアが小さいWindowsだと思っている」とデュレイニー氏は述べた。
ノキアの買収によりハードウェア部門が強化されたのに加えて、マイクロソフトには資金もある。「たくさん努力しないといけない」という条件付きだが、近い将来、Windowsは10%程度のシェアを獲得するだろうというのがディレイニー氏の見方だ。
マイクロソフトがまず為すべき努力としては、次の点が挙げられた。「マイクロソフトは今、移行段階にあり、ユーザーに混乱が生じている。マーケティングを通じて、混乱を取り除く必要がある」
また、マイクロソフトが現在展開する3つのOSについて、Windows 8 Proは「ある程度、成功」、Windows RTは「失敗に終わった」、Windows Phone 8は「多少の成功」と評価するとともに、「おそらく多くのビジネスユーザーは、Windows 8をパスしてWindows 9を待つのではないか」と指摘。
マイクロソフトが現在提供する3つのOS。これらは次のWindows 9では、1つに統合されると見ているという |
そのうえで、「2016年くらいに登場すると推測している」というWindows 9では、PCとタブレット、スマートフォンが同じOSになり、「まったく同じアプリケーションが動く仕組みになるのではないか」と予測した。デュレイニー氏の言う通りとなれば、アプリケーションの数に象徴される、iOSやAndroidと比べたWindows Phoneのエコシステムの弱さも大幅に強化されることになるだろう。