「今こそシスコは、これまで得てきた機会の中でも、最も大きなチャンスを迎えているのだ」。2013年10月8日に開催されたシスコシステムズの日本事業戦略説明会は、来日した米本社 社長兼COO、ゲイリー・ムーア氏のこんな挨拶から始まった(シスコは8月から新事業年度)。
最大のチャンスを迎えている理由は、「Internet of Everything(IoE)」――すべてのモノがネットワークにつながる時代の到来にある。「2017年には190億のデバイスがネットワークにつながる。IoEは14.4兆ドルの経済価値を生むといわれている」(ムーア氏)
2014年度の事業戦略の柱として、代表執行役員社長の平井康文氏は「日本のワークスタイル変革をリード」「クラウドによる新たなサービスを創出」「IoEの実現」の3つを挙げたが、本記事ではIoEにフォーカスしてレポートする。
米シスコシステムズ 社長 兼 最高執行責任者(COO) ゲイリー・ムーア氏 | 米シスコシステムズ シニアバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャー サービスプロバイダーネットワーキンググループ スリヤ・パンディティ氏 | シスコシステムズ 専務執行役員 テクノロジーソリューション&アーキテクチャ統括 木下剛氏 |
IoEは3段階で発展する
シスコがIoE、あるいはIoT(Internet of Things)への取り組みを強烈に打ち出し始めたのは昨年あたりからだ。昨年度のIoEにおける実績として平井氏は、IoTインキュベーションラボの設立、そしてニセコ町での冬季Wi-Fi実証実験と西武ドームスタジアムのWi-Fi化を紹介した。
同氏によると、シスコではIoEを3段階で考えているという。第一段階は「アクセスの拡がり」。ニセコ町や西武ドームでのWi-Fiアクセスの拡がりなどがその典型例だ。第二段階では、自動車などの製造業等に普及。そして第三段階で「最終的にソリューションというかたちで、公共分野も含めて普及していく」と見ているそうだ。
IoEは3段階で発展する |
日本においてIoEが生み出す新市場は「(今後10年間で)76兆円」(平井氏)。「全産業にとって、ワクワクするような大きな価値だ」とした。