ストラトスフィアは2013年9月11日、SDNの最新動向と同社の取り組みを説明する記者会見を開催した。
SDN(Software Deifined Network)やネットワークの仮想化というとデータセンター向けという印象を持っている人も少なくないだろう。だが、ストラトスフィア 取締役副社長の石黒邦宏氏は、「今年に入ってから、ネットワーク仮想化技術をキャリアが使おうという動きがかなり出てきた。来年以降は、ワイヤレスやエンタープライズでの取り組みも始まるだろう」と、その適用領域は大きく広がっていると指摘。ストラトスフィアでも、「次のステップとして、オフィス系にSDNの技術を入れていきたい」と語った。
ストラトスフィアでは、データセンター/クラウド事業者などをターゲットにしたSDNソリューション「Stratosphere SDN Platform(SSP)」に加えて、もう1つオフィス向けの「OmniSphere」もラインナップしており、今週金曜日にOmniSphereをリリースするとアナウンスされた。
SDNのマーケットトレンド。来年以降、ワイヤレスとエンタープライズに市場は広がるという |
また、注目の動きとして、シスコやIBM等が中心になって推進しているオープンソースのSDNプロジェクト「OpenDaylight」についても石黒氏は言及。IBMがOpenFlow 1.3に対応させるパッチを開発したこともあり、「このまま順調にいけば、OpenDaylightのSDNコントローラがオープンソースのデファクトになるのではないか」と評価した。また、ノースバウンドAPIについては、「OpenStackがデファクトになっていくのではないか」との見解を示した。
SSPも今後、OpenDaylightやOpenStackに対応していく予定だという。
OmniSphereのデモを披露
会見では、OmniSphereのデモも行われた。
「有線にせよ無線にせよ、オフィスのネットワークは、運用が始まった瞬間から壊れていく。人が移動したり、組織が変わったり、そのたびに変更していかなければならないが、そういったことをもっと簡単にできないかという発想でOmniSphereは生まれた」とストラトスフィア 代表取締役社長の浅羽登志也氏。
デモの内容は、共通のSSIDの無線LANアクセスポイントから、「営業部署」「開発部署」という異なるセグメントのネットワークに接続するというもの。従来の無線LANは、部署ごとなどにSSIDを割り振りセグメントを区切ってきた。だが、デモではスマートデバイスから無線LANに接続すると、まずは隔離セグメントへ。そこで入力されたユーザーIDとパスワードに応じて、特定のセグメントのネットワークへ接続できることが示された。物理ネットワークによらず、VXLANなどで仮想的にネットワークを分離することで、効率的なネットワーク運用管理を実現する。
OmniSphereの無線LANへの適用 |
OmniSphereを導入するには、OpenFlowなどをサポートしたOmniSphere対応のネットワーク機器が必要となるが、アライドテレシスが対応製品を開発していくことも発表された。まずはOmniSphere対応のスイッチおよび無線LANアクセスポイントの実証検証機をアライドテレシスは提供する。
アライドテレシスのOmniSphere対応実証検証機 |