【ワイヤレスジャパン】「スマートフォン時代の携帯電話販売チャンネルの在り方とは」――野村総研の北俊一氏が講演

ワイヤレスジャパンの携帯電話販売代理店向けビジネスセミナーでは、野村総合研究所上席コンサルタントの北俊一氏が「スマホ時代の携帯電話販売チャネルの在り方」というテーマで講演した。

野村総合研究所上席コンサルタントの北俊一氏

携帯電話市場は現在、スマートフォンの稼働数が6200万を超え、ユーザー層も従来の20代中心から、30~50代にも広がっている。スマートフォンの普及により、キーボード入力に抵抗感のある50代以上の間でもオンラインショッピングが活性化していくという。

スマートフォンの普及により、操作や設定に関する相談の増加、Facebookなどサードパーティによるアプリの浸透、「auスマートバリュー」に代表される固定とモバイルの連携などサービスの高度化というように、販売現場にさまざまな変化をもたらしている。

なかでも大きな課題となっているのが、青少年が安心・安全にスマートフォンを利用できる環境作りだ。

フィーチャーフォンは通信キャリアによるフィルタリングが徹底していたが、スマートフォンでは出会い系アプリによるトラブルの発生、WiFi環境下におけるフィルタリングサービスのバイパス問題などが起きている。「学校や保護者、携帯電話業界が一体になって、青少年の安心・安全なスマートフォン利用を徹底しなければならない」と北氏は強調した。

2007年末の分離プランの導入による端末価格の上昇で併売店が淘汰された他は大きな変化のなかった携帯電話販売代理店業界だが、今後はオンラインショップという新たな販売形態が伸びてくると北氏は予測する。また、現在のスマートフォン特需もあと2年ほどで落ち着くと見られる。このため、販売代理店は今後、「効率化を進めると同時に、高度な専門性と接客力を両立させていく必要がある」(北氏)という。

その参考例として、栃木県のカメラ専門店「サトーカメラ」を紹介した。

同社はいち早くデジタルカメラに対応するとともに、スタッフが専門知識を身に付け、来店客とのコミュニケーションを重視することで、県内におけるデジカメ販売シェアで15年連続トップの座にある。さらに、デジカメ市場の縮小が言われる中で、カメラに興味がない人たちも「想い出をキレイに一生残したいと考えているはず」として、新たな顧客の開拓・創造にも熱心に取り組んでいる。北氏は「携帯ショップも、携帯電話を売ることが目的ではない。売ってから、お客様と本当の付き合いが始まる」と語った。

スマートフォンやタブレットはますます高度化・複雑化することから、「お客様が納得するまで説明して販売し、その端末を使いこなせるまで徹底的にサポートする必要がある。そのサポートは、リアル(店頭)でもバーチャル(オンライン)でも本気で取り組まなければ、上質な顧客体験を提供することはできない」と述べ、講演を締めくくった。

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