「欧州はUpper 6GHzを5G/6Gに」 ノキアが解説する世界の周波数動向

6G周波数の有力候補として注目を集めている「U6GHz(Upper 6GHz)」。この6.4~8.4GHzの帯域を確保するため、国際移動通信(IMT)とWi-Fiとの間で綱引きが続いているが、欧州は6.425~7.125GHzの700MHz幅をIMTに割り当てる方向へと舵を切る。欧州に追随するアジア諸国、同帯域をWi-Fiに割り当てた米国の動きが注目される。

5Gで得た技術的知見を活かせるうえ、連続した広い帯域を確保できる可能性があることから、6G展開時の“ゴールデンバンド”と見なされているのが6.4~8.4GHzの周波数帯、いわゆる「U6GHz(Upper 6GHz)」だ。

この帯域の一部、6.425~7.125GHzは2023年の世界無線通信会議(WRC-23)で移動通信用に確保された。日本でもこのうち7.025~7.125GHzの利用が検討されている。そして、2027年のWRC-27では7.125~8.400GHzのIMT特定が議論される予定だ。

こうした議論はあくまで6Gの新周波数獲得を前提としてきたが、ここに来て、“前倒し”の可能性も出てきている。

ノキアソリューションズ&ネットワークス 執行役員でストラテジー&テクノロジー技術戦略本部長を務める高岡晴生氏

ノキアソリューションズ&ネットワークス 執行役員
ストラテジー&テクノロジー技術戦略本部長の高岡晴生氏(左)と、
ノキア ストラテジー&テクノロジー事業部 バイスプレジデント&CTOのアリ・キナスラティ氏

モバイルトラフィックの爆発的増加を考慮して、「6G導入前の2029年から2030年には、新しい周波数の獲得が必須になると我々は分析している」と話すのは、ノキアソリューションズ&ネットワークス 執行役員でストラテジー&テクノロジー技術戦略本部長を務める高岡晴生氏だ。2025年11月19日にソフトバンクと共同開催した記者説明会で、世界の6G周波数政策について解説した。

5Gミッドバンドを700MHzも拡張

ノキアの分析によれば、世界のネットワークトラフィックは2024年から2034年に5~9倍に増加する見込みだ。AIの普及によってさらなる加速も予測される。「このまま進むと、2029年辺りには5Gネットワークが飽和状態になってしまう」

そこで期待されるのが、5Gミッドバンドの拡張だ。現在、下図表に示した周波数がIMT候補として議論されている。6G用の新周波数として470~690MHz、4.4G~4.8GHz、7.125~8.4GHz、14.8~15.35GHzがあるが、世界的な注目は6.425~7.125GHzに集まっている。

WRCで議論されている5G/6Gの新周波数

WRCで議論されている5G/6Gの新周波数候補

一足先にWRC-23でIMT特定されたことに加えて、この帯域は、既存の5Gミッドバンドを拡張するかたちで使えるという点で他の候補周波数とは一線を画す。「5Gの知見、経験が生かせるし、アンテナ技術が発展しているので、5G Sub6と同等のカバレッジが確保できて、大容量の通信もできると見込んでいる」と高岡氏。700MHzもの帯域幅を追加できるのは大きな魅力だ。

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