IOWN APN×クラウド型PLCで生産設備のリアルタイム制御 NTTと東芝が工場DXに向けた実証

NTTと東芝が、IOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)とクラウド型PLC(シーケンサー)を活用した生産設備のリアルタイム制御に成功した。約300km離れたベルトコンベア-クラウド型PLC間をAPNでつなぐことで、遅延20ミリ秒(ms)でベルトコンベアを制御できることを確認した。

NTTと東芝は2025年11月7日、IOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)とクラウド型PLC(シーケンサー)を活用した生産設備のリアルタイム制御に関する実証に成功したと発表した。

クラウド型PLCとは、これまで現場の制御盤に設置していたPLCのコア機能などをクラウド上に移し、ネットワークを介して遠隔から生産設備を監視・制御できるシステム。今回の実証では、東芝が開発するクラウド型PLC「Meister Controller Cloud PLC パッケージ typeN1」を用いた。

これまでは、制御における応答性能が緩やかな製造ライン向けにクラウド型PLC の提供を進めてきたというが、「今後適用範囲を拡大するためには、低遅延かつゆらぎの少ないAPNが必要になると考えた」とNTT IOWNプロダクトデザインセンタ コンピューティングPF推進プロジェクト 担当課長の村上祐介氏は説明した。

NTT IOWNプロダクトデザインセンタ コンピューティングPF推進プロジェクト 担当課長 村上祐介氏

NTT IOWNプロダクトデザインセンタ コンピューティングPF推進プロジェクト 担当課長 村上祐介氏

今回の実証では、NTTの武蔵野研究開発センタに生産設備を模したベルトコンベアを設置し、そこから約300km離れたクラウド型PLCとAPNで接続。リアルタイムにベルトコンベアを制御できるか検証を行った。

クラウド型PLCで生産設備を制御する実証

また、ベルトコンベアに設置したカメラが撮影した画像を、RDMA(Remote Direct Memory Access)アクセラレータを介して約300km離れたGPUサーバーにRDMA通信で転送。NTTドコモソリューションズの画像認識AI「Deeptector」を用いて製品の外観検査を行い、その判定結果をクラウド型PLCに送信してベルトコンベアを制御するまでの処理時間を測定した。

AI外観検査の実証

村上氏によれば、CPUを介さずにメモリ間のデータ転送を行うRDMA通信は、短距離で大容量データを低遅延に伝送する用途に適しているが、「RDMAアクセラレータを活用することにより、この転送性能を維持したまま、APN を介して中・長距離通信へと延伸することが可能になる」という。

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