AFC導入のポイントとWi-Fi 8の展望 6GHz帯Wi-Fiで先行する米国の状況は?

6GHz帯割当とAFC実用化で先行する米国。同国でのWi-Fi活用状況と、Wi-Fi 8に向けた進化の方向性について、Extreme Networksのワイヤレス担当ディレクター、デビッド・コールマン氏に聞いた。

米Extreme Networks CTO オフィス、ワイヤレスネットワーキング担当ディレクターを務めるデビッド・コールマン氏

米Extreme Networks CTO オフィス、ワイヤレスネットワーキング担当ディレクターを務めるデビッド・コールマン氏。入社以前から多くの企業、米軍、連邦政府・州政府機関向けにWi-Fiコンサルティングを提供。2020年には、Wi-Fi業界において多大な貢献をした個人や企業に贈られるWi-Fi Lifetime Achievement Awardを受賞した

――日本では今、6GHz帯Wi-Fiの周波数拡張(6425~7125MHz)と、屋外利用を可能にするAFC(自動周波数調整)の導入に関する議論が行われています。一方、米国では、すでに6GHz帯の1.2GHz幅(5925-7125MHz)すべてがWi-Fiで使用可能で、AFCも実用化されています。米国での6GHz帯Wi-Fiの活用状況について教えてください。

コールマン Wi-Fiは私たちの生活に深く浸透しており、世界中のスマートフォントラフィックの90%がWi-Fiを経由しています。セルラーネットワークの10倍に相当する量です。

そのWi-Fi市場で、6GHz帯は大きな焦点となっています。ExtremeNetworksが出荷したアクセスポイント(AP)の67%が6GHz帯に対応しており、エンタープライズ向けのクライアントデバイスも約半分が6GHz帯をサポートしています。

米国では、AFCを活用した6GHz帯Wi-Fiの屋外利用も広がっています。より高い電力で電波を送信したり、外部アンテナや過酷な環境で使用可能な耐候性APを使うケースも出てきています。

「Open AFC」が導入のカギに

――米国以外の状況はどうですか。

コールマン 現時点で、63カ国が6GHz帯の全部または一部をWi-Fi用に採用しています。

日本は480MHz幅(5925~6425MHz)が屋内のみで利用可能と、米国と比べると遅れていますが、欧州も同じような状況です。日本も欧州も1.2GHzがすべてオープンになることを願っています。

アンライセンスのWi-Fi周波数が新たに開放されると2つのことが起こります。経済的な活況とイノベーションです。これは、5GHz帯の追加時に証明されています。

特に日本は、新しいことに取り組む際に少し時間がかかる印象がありますが、いざスタートすればイノベーションマインドを働かせて新しい活用法を編み出します。6GHz帯Wi-Fiでもそれを期待します。過去にも日本は、Wi-Fi PasspointやOpenRoamingといった分野でリーダーシップを発揮した例がありますから。

――AFCは、6GHz帯を使用する他の無線システムとWi-Fiとの周波数共用を実現するもので、6GHz帯Wi-Fiの屋外利用に必須です。現時点で実用化されているのは、米国とカナダのみですね。

コールマン その通りです。日本を含めて他の国々も導入を検討中で、実用化が間近な国もあります。

米国では、FCC(連邦通信委員会)が8者のAFCプロバイダーを承認しており、Wi-Fi製品のベンダーが利用するプロバイダーを選択できます。

――日本ではAFCシステムとその運用者、運用方法を議論中ですが、北米で運用実績のあるAFCシステムを輸入し、ローカライズして運用することは可能ですか。

コールマン 前提として、総務省がAFCシステムと運用者を承認するプロセスが必要です。

AFCの規格には「Open AFC」というオープンスタンダードがあり、北米の8者の多くもこれを採用しています。Extreme NetworksはWi-Fi Allianceを選択していますが、その理由の1つがOpen AFCを採用していることです。日本でも、北米で使われているOpen AFCベースのシステムを踏襲して作ることは可能です。欧州でも、その形態が増えるでしょう。

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