「データセンターの建物とGPU等のコンピューティングリソースをどこにどう置くのか。そこにどんなプラットフォームを置き、どういったAIモデルを開発するのか。これらをなるべく自社でコントロールし、一気通貫でお客様に提供できる環境が望ましい」
NVIDIA AI Day Tokyoにおいて「AIの社会実装に向けたソフトバンクの取り組み」と題して講演したソフトバンクの鈴木邦佳氏は、同社が「ソブリンAI」に取り組む理由をそう語った。
ソフトバンク 法人統括 AIプラットフォーム開発本部
クラウド・AIサービス第1統括部 統括部長 鈴木邦佳氏
ソフトバンクが実現しようとしているAIサービス開発のための基盤の具体像を示したのが下の図表だ。鈴木氏は「計算インフラ」「国産LLM」「ソブリンクラウドプラットフォーム」の3層それぞれの取り組みを説明した。
AIサービス開発に必要な基盤を一気通貫で提供
データセンターと計算基盤は分散配置
土台となる計算インフラについては、国内最大規模を目指すとともに「分散配置戦略」を進める。
現在の国内データセンターは約8割が東京と大阪周辺に集中しているため「電力逼迫の懸念がある」。ソフトバンクはこれを解決するため、下図表の3階層で全国に分散配置する計画だ。
階層構造によるデータ分散処理
大規模AI基盤やデータベース等を運用するBlain DataCenterは、東阪に第3極を加えて全国で4~5カ所を構築する。その1つとして、北海道・苫小牧に大規模データセンターを建築中で、2026年度に稼働を開始する予定だ。「最終的には300MWの電力容量」となる計画という。
中規模のRegional Brainは、地方都市や都道府県単位に配備。AI基盤のほか、5G RAN(無線アクセス)とAI処理を融合させた「AI-RAN」も展開する。そして、ユーザーに最も近いエッジコンピューティング(MEC)は数千から数万を配備。これらを利用用途に応じてデータ処理の場所を最適化する。
AI計算基盤の核となるGPUについては、NVIDIA GPUを自前で1万基導入している。「この計算資源を日本企業に広く使ってもらうことを想定している」と鈴木氏。10月に開始する予定の新サービスについて説明した。