「今では、ほとんどの企業がハイブリッドクラウド、マルチクラウド環境に移行している。非常に複雑化したこの状況に、今までのADCは対応できない」
2025年7月9日に開催した説明会で、F5のCEOを務めるフランソワ・ロコ・ドヌー氏は“ADCの限界”を示すかたちで現在のトレンドを語り始めた。
F5 CEO フランソワ・ロコ・ドヌー(Francois Locoh-Donou)氏
同氏は、1990年代にアプリケーション配信を最適化する目的で登場した「ADC 1.0」が、2010年代にクラウドアプリケーションをサポートすることで「ADC 2.0」へと進化したと説明。この過程でADCは、ハードウェアアプライアンスからクラウドサービスへと変化するとともに、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)やDDos攻撃対策といったセキュリティ機能も実装し、拡張してきた。
ハイブリッド/マルチクラウド時代の「ADC 3.0」
そして今、「ハイブリッド、マルチクラウド環境に対応するためには『ADC 3.0』が必要」とロコ・ドヌー氏は話した。
ADC 3.0は、オンプレミスやエッジクラウドも含めた多様な環境を包括的にサポートし、かつアプリケーション配信と広範なセキュリティ機能を統合したものになるという。AI活用ニーズに対応するための「AIセキュリティ」も内包。F5ではこれを「アプリケーションデリバリーセキュリティプラットフォーム(ADSP)」と呼び、グローバルに展開していく方針を打ち出している。
日本法人のF5ネットワークスジャパン(以下、F5ジャパン)でカントリーマネージャーを務める木村正範氏も、このADSPを顧客企業へ導入していくことを強調。同社の「BIG-IPシリーズ」の既存顧客に対して「クラウド移行を支援するなかで、ADSPの価値を訴求していく」という方針を述べた。