生成AI等の利活用拡大に伴い、データセンター(DC)の電力需要が急増すると予想されるなか、電力・通信インフラを有機的に連携させる「ワット・ビット連携」が注目を集めている。
国家戦略「GX2040ビジョン」では、「電力と通信の効果的な連携(ワット・ビット連携)により、AIを通したDXを加速させ、成長と脱炭素の同時実現を目指すGXの効果を最大化させていく」とその狙いが明記されている。
電力側の課題は、DCへの電力安定供給と再エネ等を活用した脱炭素の両立だ(図表1)。今年2月に閣議決定された「第7次エネルギー計画」では、再エネが最大電源として位置付けられ、2040年度の発電量全体を占める再エネの割合を4~5割程度まで引き上げるとの方針が打ち出された。
図表1 ワット・ビット連携実現に向けた課題
一方、DC側においては、AWSやマイクロソフト、グーグル等が日本国内のDCへの設備投資を積極的に進めるなか、東阪をはじめとする大都市圏ではDC用の適地不足が顕在化している。
こうした課題を解消し、AI用DCに必要な電力・通信インフラを統合的に整備していくことが、ワット・ビット連携の目的だ。今年3月には、官民一体となってDCのあるべき姿を検討する「ワット・ビット連携官民懇談会」が立ち上がるなど、ワット・ビット連携の重要性はますます高まっている。