「ワイヤレスジャパン×WTP 2025」のFlexible Society Project（FSPJ）ブースでは、製造業や物流、医療、インフラ等のDXを支える無線技術とソリューションが数多く展示されている。
FSPJは、情報通信研究機構（NICT）と複数メーカーによって設立された「Flexible Factory Project（FFPJ）」を前身とし、工場内における様々な無線システムが共存する環境下でも安定した通信を実現するため、「SRF無線プラットフォーム」の開発等に取り組んできた。その後、対象領域を製造業から社会全体に広げることを目的に、Flexible “Society” Projectに名称を変更した。現時点では、無線機器ベンダーや通信事業者、研究機関など計23者が参画している。
「ワイヤレスジャパン×WTP 2025」のFlexible Society Project（FSPJ）ブース
NTT Comのローカル5Gは「30社から引き合い」
同ブースのなかでも一際目を引くのが、NTTコミュニケーションズの法人向け5G総合コンサルティングサービス「docomo business プライベート5G」に関する展示だ。
docomo business プライベート5Gでは、ローカル5Gや可搬型基地局、docomo MECといった多様な選択肢を提供し、自社の環境や用途などに応じて最適な5Gソリューションを導入できる点が特徴である。無線区間のリソースを優先的に割り当てる「5Gワイド」もあわせて展開する。
今年3月には、CU/DU（制御部）や5GコアなどをNTTドコモのネットワークを共有する「ローカル5Gサービス TypeD」を提供開始。最小構成で月額50万円（税抜）からローカル5Gを利用できる。
「ローカル5Gサービス TypeD」のアンテナと無線装置
説明員によると、免許取得や申請書類等の作業対応が不要である点に加え、ドコモの作業者による24時間365日体制での監視・運用体制などが高く評価されており、「現時点で30社ほどからご相談をいただいている」状況だという。
トヨタも活用するNECの無線安定化ソリューション
NECは、無線通信可視化・安定化ソリューションを紹介している。可視化ソリューションは、無線LAN環境の保守・管理を効率化するために開発されたものだ。現地に設置した無線センサーから情報を取得することで、電波受信強度（RSSI）や端末接続数、帯域占有率などを見える化できる。
無線通信可視化ソリューション
安定化ソリューションは、製造・物流現場などで活用されているAGV（自動搬送ロボット）やAMR（自律走行搬送ロボット）等の安定稼働に寄与するものだ。複数の無線を1本の通信経路として扱うことで、1つの経路が遮断された場合は別の無線経路に切り替え、通信を継続させることが可能だという。
また、仮想化経路ゲートウェイと無線通信安定化デバイスを設置することで、既設のWi-Fiアクセスポイント（AP）に変更等を加える手間が省けるそうだ。トヨタ自動車の元町工場は、検査工程におけるBEV（バッテリーEV）の安定した自律走行を実現させるため、この安定化ソリューションを活用している。
仮想化経路ゲートウェイと無線通信安定化デバイス
また、通信品質が不安定化な環境下でも映像の乱れなくリアルタイムな映像監視を可能にする「NEC Intelligent Video Streaming」も展示している。
そのほか、FSPJブースでは、東北大学が「ローカル5G通信用無線環境測定技術」を、積水化学工業が景観を損ねず通信環境を改善できる「SEKISUI透明フレキシブル電波反射フィルム」などを展示中だ。
