ワイヤレスジャパン×WTP 20255G/ローカル5Gを高度化する無線技術をNICTが提案 ドローンの社会実装も後押し

「ワイヤレスジャパン×WTP 2025」の情報通信研究機構(NICT)のブースでは、5G/6Gに関する展示が目白押しだ。本稿では、「5G/ローカル5Gの高度化技術」「空モビリティの安全・安心を支える無線技術」「Massive IoT」などの展示を紹介する。

情報通信研究機構(NICT)は「未来社会を開拓する世界最先端ICT」をテーマに、様々な研究開発の成果を「ワイヤレスジャパン×WTP 2025」のブースで紹介している。

その1つが、「5G/ローカル5Gの高度化技術」に関する研究開発だ。このカギを握るのが、NICTが開発した低遅延・多数接続を実現する無線システム「NR-STABLE」である。5G/ローカル5Gとの互換性を持ち、既存の5Gインフラと連携させることができる。

また、同一の周波数帯・時間帯を複数端末で共有する「NOMA」(Non-Orthogonal Multiple Access:非直交周波数多元接続)を利用し、多数接続を実現。低遅延性については、基地局からの通信許可を省略する「コンフィギュアドグラント」を採用することで、伝送遅延を低減させている。

こうした特徴を活かし、高精細映像のリアルタイム伝送や、ロボット・AGV(自動搬送ロボット)の遠隔制御といった用途への応用が期待される。

NR-STABLEの通信実証デモも実施中

ドローンの安心・安全を支える無線技術を展示

NICTのブースでは、「空モビリティの安全・安心を支える無線技術」も紹介している。具体的には、複数のドローンや有人ヘリがお互いの位置情報を共有する「ドローンマッパー」技術を活用し、両者が自律的に接近を回避したり、100台規模のドローン群制御を行うためのシステムに関する研究開発・実証を行っている。

また、169MHz帯と920MHz帯を状況に応じて切り替え、最大3ホップまでのマルチホップ中継によって長距離通信を実現する「コマンドホッパー」技術を開発した。これにより、通信距離と速度のバランスを最適化できるという。

こうした技術は、災害発生時やモバイル網の電波が届かない離島や山間部等において、ドローンを用いたインフラ監視・測量などに活用されることが見込まれる。

ドローンの群飛行・自立接近回避のための機体間通信システム。ドローンへの実装が可能

LPWAを用いた送信機1500台の屋内実証に成功

「Massive IoT」のブースでは、大規模センサーネットワーク向けの低コストソリューションを展示している。IoTデバイスの監視・メンテナンス等には、低消費電力で広いエリアをカバーできるLPWAが活用されているが、デバイス数が増加すると通信の衝突が頻発し、通信品質やスループットが大きく低下するおそれがある。

そこでNICTは、データパケット等が衝突しても正しく受信できる「APCMA」(Asynchronous Pulse Code Multiple Access:非同期パルス符号多重通信方式)を開発。これにより、LPWAを用いた送信機1000台の屋外実証、1500台の屋内実証に成功した。倉庫内のモノの追跡やバイオ医薬品の温度管理、海洋の水温・潮流モニタリングなどをユースケースとして想定しているという。

IoTデバイス等に取り付けられるよう、さらなる小型化を目指すという

そのほか、電波を用いた海中ワイヤレス技術やテラヘルツ波に関する研究開発の展示なども行われている。

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