<ケーススタディ>HOTEL LOGIN NISEKOIoT家電でスマートホテル 生成AIの活用も視野に

IoT家電等を導入して宿泊者に快適な環境を提供しているホテルが、HOTEL LOGIN NISEKOだ。経営母体は、半導体企業という異色のホテルである。また、生成AIの活用も検討中だという。

2025年2月にグランドオープンした「HOTEL LOGIN NISEKO」。世界有数のスキーリゾート地として名高いニセコで、ツインルーム13室を提供する

2025年2月にグランドオープンした「HOTEL LOGIN NISEKO」。世界有数のスキーリゾート地として名高いニセコで、ツインルーム13室を提供する

ここ数年、インバウンド需要が大きく拡大している。日本政府観光局(JNTO)によると、2024年の訪日外国人旅行者数は前年比47.1%増の約3687万人に到達し、過去最高を更新した。昨年7月に行われた「第24回観光立国推進閣僚会議」で岸田元首相は、「2030年に訪日外国人旅行者数6000万人、消費額15兆円」という野心的な目標の達成を目指すと発言した。

しかし実は、国内のホテル・旅館数は東京などの大都市や有名観光地を除き、微減傾向が続いている。その理由の1つが人手不足だ。帝国データバンクが実施した「人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)」によれば、ホテル・旅館関連企業の6割以上が「正社員が不足している」と回答した。

こうした課題を解決しうるのが、IoTやAIなどのデジタル技術を活用したスマートホテルだ。無人チェックインや精算業務の自動化等を実現できれば、スムーズな宿泊受付や決済処理が可能となり、人件費の削減や業務効率化、CS(顧客満足度)向上が期待できる。

タブレットでIoT家電を遠隔操作

近年のホテルで導入が増加傾向にあるのが、客室タブレットである。宿泊者の年齢や国籍、趣味・嗜好に合わせて配信コンテンツをカスタマイズしたり、チャットボットや音声通話を通じてフロントとやり取りできるソリューションを提供するベンダーも増えているほか、タブレットからIoT家電を操作できるホテルもある。

2018年に設立されたスタートアップのトナリズムグループが今年2月に北海道・ニセコへオープンしたHOTEL LOGIN NISEKOも、この客室タブレットを導入している。同ホテルの最もグレードの高い部屋では、タブレットを通じて照明やエアコン、テレビ、カーテンを遠隔操作できるという。これにより、宿泊者の顧客体験を向上させていきたい考えだ。

HOTEL LOGIN NISEKOの客室。一部客室には畳を取り入れた和モダンデザインや、宿泊者のプライバシーを守る防音仕様を施している

HOTEL LOGIN NISEKOの客室。一部客室には畳を取り入れた和モダンデザインや、宿泊者のプライバシーを守る防音仕様を施している

ホテル業界におけるもう1つのトレンドが、スマートロックである。宿泊者は予約サイトや公式アプリ等で宿泊予約と決済を行い、その後宿泊者のスマートフォンにQRコードや暗証番号が送られてくる。これらをスマートロックにかざすことで開錠できるという仕組みで、チェックイン時の待ち時間削減やフロント業務の省人化に貢献する。

HOTEL LOGIN NISEKOでは、暗証番号式のスマートロックを導入し、フロント業務の完全無人化を実現させているという。

全客室にスマートロックを採用し、宿泊客のスムーズなチェックインやフロントの完全無人化を実現した。また、一部客室にタブレットを導入し、照明やエアコン、テレビ、カーテンなどの操作をタブレットから行える
全客室にスマートロックを採用し、宿泊客のスムーズなチェックインやフロントの完全無人化を実現した。また、一部客室にタブレットを導入し、照明やエアコン、テレビ、カーテンなどの操作をタブレットから行える

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