インターネットイニシアティブ(IIJ)は2012年5月23日、同社のクラウドサービス「IIJ GIOサービス」の新たなラインナップとして「IIJ GIO コンポーネントサービス 仮想化プラットフォーム VWシリーズ」を追加し、8月から提供開始すると発表した。仮想化技術として「VMware vSphere」、ストレージ製品にEMCのユニファイド・ストレージを採用した仮想化プラットフォームを提供する。
クラウド事業統括・専務執行役員の時田一広氏 |
新サービス「VWシリーズ」の特徴は、従来サービスと比較して、仮想基板上のOSやアプリケーションをユーザーが自由に設計、構築可能な点。これにより、業務環境や要件に応じたシステムをクラウド基盤上に構築できる。クラウド事業統括・専務執行役員の時田一広氏は、発表に当たり、「IaaSでNo.1を目指す」と意気込みを語った。
IIJ GIOのこれまでの実績(クリックして拡大) |
時田氏によれば、2009年12月から提供を開始した「IIJ GIO」の利用動向に変化が見られるという。サービス開始からおよそ2年が経過し、「当初はゲーム開発やエンターテイメント系の企業の利用が多かったが、ここ1年、エンタープライズ系が増加している」と話す。さらに、プライベートネットワークに接続するケースも増えている。こうした変化を背景にプライベートクラウド需要を取り込もうというのがIIJの狙いだ。
新たに提供を始めるVWシリーズは、既存のIIJ GIOサービス基盤上で提供され、そのうえで、OSやサーバーリソース等を自由に設計、構築可能にしたものだ。これまで1000社以上で利用されている実績あるリソースプール上で提供され、さらにオンプレミスと同等の自由度を実現することで、「持たないプライベートクラウド」を訴求していきたいと時田氏は話す。さらに、スモールスタートが可能なことも利点だ。
新サービス「VWシリーズ」の特徴(クリックして拡大) |
VWシリーズを利用する企業の管理者は、VMwareの管理機能「vCenter」を用いて遠隔から、その用途に応じて、ベースサーバーとデータストア(プロトコル、シスク性能/容量、ネットワーク(インターネットVLAN、プライベートVLAN)を選択。GIOの基盤上にリソースプールが構築される。こうしたIaaSメニューに加え、VWシリーズ上で利用可能な仮想アプライアンスや業務ソフトウェアの配信も行う。IIJが用意するソフトウェア配信ポータルから必要なソフトウェアをダウンロードし、迅速にサーバーを構築するといった利用法が可能になる。
VWシリーズのメニューと利用シーン(クリックして拡大) |
IIJでは、本サービスの利用形態として、オンプレミスで構築されるのが一般的なプライベートクラウドをGIO上で構築する“ホステッドプライベートクラウド”のほか、ディザスタリカバリやハイブリッドクラウドも想定している。