「セキュリティを強化するだけでなく、利便性も追求した。スマートフォンやタブレットの中にも入るmicroSDカード型の認証デバイスのため、いつでもどこでも安心にマイオフィスを作ることができる」(日立製作所の九野 伸氏)――。日立製作所は2012年4月23日、microSDカード型の認証デバイス「KeyMobileMSD」を発表した。ノートPCやスマートフォン、タブレットに装着することで、外出先から社内ネットワークへアクセスする際などの認証キーとして利用できる。
出張中や在宅勤務時などに、セキュアに社内ネットワークへ接続するための認証キーが「KeyMobileMSD」 |
KeyMobileMSDの特徴はまず、microSDカードサイズに、外部からの改変・解析に強いICチップを搭載している点だ。採用するICチップは、情報セキュリティ国際評価基準の保証レベル4+(EAL4+)の認定を取得したもの。ここに電子証明書と秘密鍵を格納し、社内ネットワークへのリモートアクセス時などの認証キーとして利用できる。
KeyMobileMSDの主な特徴 |
ハードウェア型認証キーの課題の1つは、持ち運びに手間がかかることだが、小型かつ広く普及するmicroSDにすることで利便性を向上させている。例えば、ほとんどのAndroidデバイスはmicroSDスロットを標準搭載するため、対応スロットにKeyMobileMSDを装着しておけば、電子証明書とパスワード・PINによる二要素認証を手軽に実現できる。また、KeyMobileMSDを搭載したデバイスを盗難・紛失したときも、リモートから電子証明書の失効が行える。
KeyMobileMSDの価格は1万7800円(税込)で、販売開始は4月25日から。当初はWindows 7のみに対応し、Androidのサポートは2012年度第2四半期になる予定だ。
Androidへの対応は2012年度第2四半期になる予定 |
KeyMobileMSDを装着したスマートフォンを、PCやタブレットの認証キーとして利用する「KeyMobileフォン(仮称)」機能も今後提供する計画だ。例えば、PCへのログオン時やPCからのリモートアクセス時などに、KeyMobileMSD搭載のスマートフォンを持っていないと認証をパスできなくできる。 会見では、PCとスマートフォン間をBluetoothでつないだデモを実施。Bluetoothをオフにしたり、スマートフォンを持ったまま離席して Bluetooth通信が途切れると、自動でログオフするようになっているという。
KeyMobileフォン(仮称)の概要 |
KeyMobileMSDおよび関連システムのグローバルでの売上目標は、これから3年間で200億円。KeyMobileMSDには最大5つまでの電子証明書が入るため、「クレジットカードや社員証など、様々な応用も可能」(九野氏)とのことだ。