ソフトバンクの孫正義社長は2012年2月2日、「2016年度に連結営業利益1兆円を目指す」ことを発表した。この日開催した2011年度(2012年3月期)第3四半期決算説明会で語った。
ソフトバンク孫正義社長 | 中期の利益計画を発表するのは「創業以来初」という |
孫社長は「コンスタントに1兆円規模の営業利益を出す体質の会社にしたい」と語り、それに向けた基本戦略として、(1)顧客基盤の強化と(2)ネットワーク増強の2つを挙げた。
(1)については、「iPhone 4S」がauから発売されると決まった時に、「100万人規模の解約を恐れた」が、各種の施策、キャンペーンの成果で2011年10~12月のiPhoneユーザーのMNP(携帯電話番号ポータビリティ)転出が5万程度に留まったことを明かし、「auのiPhoneよりも我々のiPhoneのほうが、トータルでユーザーに高い満足度を与えることができた」と評価した。
さらに、同期の純増契約数がauの1.5倍になり、新規と機種変更を合計した端末の総販売台数も初めてauを逆転したことなども挙げ、今後も顧客基盤のさらなる拡大のためにさまざまな端末ラインナップや工夫をしていくことを表明した。
MNP転出は5万に留まったが、iPhone機種変更特別キャンペーンの損益への影響は前期比約300億円だった |
また、再生支援中のウィルコムにも言及。第1~第3四半期の合計で6年ぶりの純増50万件超(56万件)を達成するなど、毎月営業黒字を続けながらV字回復させている点をアピール。ウィルコムユーザーを合わせた累計契約数は3215万回線と、ボーダフォンジャパン買収時から2倍超になったという。孫社長は「顧客基盤は今後も益々、着実に上乗せさせていきたい」と語った。
各年度1~3Qのウィルコムの純増契約数の推移 |
「つながりにくい」という汚名を払拭する
(2)のネットワーク増強については、「接続率×速度」が「ネットワーク満足度」につながると発言。接続率については2011年の1年間で基地局数を8万から18万へと2.3倍に増やしてNTTドコモ、auと同等の総合接続率98%台(98.2%)に改善したことなどをアピールした。
総合接続率は外部の調査会社が調べた2012年1月現在の数字 |
速度については、グループ会社Wireless City Planning(WCP)のAXGPをMVNOとして「SoftBank 4G」のブランドで提供する下り最大76Mbpsのサービスを紹介。モバイルルーター「ULTRA WiFi 4G」を2月末に発売することを発表した。また、2011年度、2012年度の2年間で連結で1兆円の設備投資をすることや、2月中にも割り当て先が決まる900MHz帯の獲得にも自信をみせ、「“ソフトバンクはつながりにくい”という汚名を完全に払拭する」と力を込めた。
先日WCPが実施したAXGPの記者向けデモでは、東京駅周辺の条件の良い場所で60Mbps超を達成している(関連記事) |
2011年度第3四半期までの連結業績は、売上高が前期比7%増の2兆3981億円で2期連続の過去最高を達成。EBITDAは同11%増の7760億円で8期連続最高益、営業利益は同10%増の5327億円で7期連続の最高益だった。
純利益も3期連続最高益を達成している |