新生モトローラ・ソリューションズが2011年12月14日、戦略説明会を開催した。周知の通り、モトローラは今年1月に携帯電話端末事業の「モトローラ・モビリティ」とエンタープライズ事業や携帯インフラ事業の「モトローラ・ソリューションズ」に分社化。さらに今年4月にはノキアシーメンスネットワークスへの携帯インフラ事業の売却が完了し、「モトローラの原点であるミッションクリティカルなソリューションを提供する会社として再スタートした」(同社代表取締役社長の大林広明氏)。
モトローラの会社分割・再編の概要 |
再スタートしたモトローラ・ソリューションズが国内で展開していく主要事業は3つあるという。まずは「官公庁・法人ビジネス」で、これは官公庁や自治体など向けの業務用無線システムが中心。「国内の自治体の防災無線はまだ9割がアナログ無線で、デジタル化はこれから。欧米の先進的なデジタル無線をぜひとも日本に浸透させていきたい」と大林氏は語った。
「先進的な無線システム」とは、欧州の標準化機関であるETSIにより標準化された「TETRA」を採用したシステムのことだ。モトローラ・ソリューションズでは、周波数やユーザーインターフェースなどをローカライズして日本向けに展開しているが、接続が早い、同報機能を搭載、アナログ無線も接続できる、「もしもしはいはい」にとどまらずGPSやメール、写真送信にも対応といった特徴を備えているという。なかでも大林氏が強調したのは接続の早さだ。「日本メーカーの場合、接続するまでに3~5秒、長いものでは10秒くらいかかるが、我々のシステムはコンマ1秒以下で接続できる」という。こうした点が評価され、すでに5つの自治体で運用が始まっているそうだ。
官公庁・法人ビジネスにおける販売戦略 |
業務向けの工夫が満載のAndroidタブレット「ET1」
2つめの主要事業は、バーコードスキャナや産業向けモバイルコンピュータなどの「エンタープライズ・モビリティ・ビジネス」である。モトローラ・ソリューションズでは、堅牢性などに優れた業務用モバイル端末を非常に数多くラインナップしている。また、日本企業の海外進出がさらに加速しているが、グローバルに同一の端末を提供できるのも特徴とのこと。「日本企業からの『全世界で同じものを使いたい』という要望が増えており、そのときにはモトローラが有力候補になる」と同社取締役の松永慎一氏は話した。
エンタープライズ・モビリティ・ビジネスでは、この3つの製品ジャンルを展開していく。また、特に注力する業界は、リテール市場、SCM市場、ヘルスケア市場だという |
会見では2012年第1四半期に販売開始予定の業務用Androidタブレット「Motorola ET1」も紹介された。ET1は、長時間持ち続けても疲れないように、背面にハンドストラップを取り付け可能。また、バッテリーは内蔵ではなく取り外し可能な交換型となっており、長時間運用できる。このほか、標準でバーコードリーダーに対応、各種セキュリティ機能の提供、3年間の販売・保守などの特徴を備えている。
業務用Androidタブレット「ET1」の特徴 |
さらにET1には、ハードウェアをカスタマイズできる拡張スロットも用意されている。標準搭載のカメラよりも高速なバーコード読み取りが可能になるバーコードスキャナの提供が予定されているほか、NFCなどに対応したモバイル決済用の拡張モジュールなども検討しているという。