富士通が5Gの品質劣化を防ぐAI技術を開発、O-RAN仕様でグローバル提供へ

富士通は2024年10月15日、NEDOの委託事業である「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」において、人工知能(AI)技術を活用してネットワーク運用を高度化するアプリケーションを開発したと発表した。

今後、O-RAN仕様に基づく運用管理システム(SMO)「FUJITSU Network Virtuora Service Management and Orchestration」に搭載し、グローバルで導入実績を持つRU(無線装置:Radio Unit)で培ったフットプリントを活かすことで、全世界のモバイルネットワーク事業者に向けて2024年11月よりグローバルに順次提供を開始する予定だ。

本アプリケーションは、(1)AIでネットワーク品質をリアルタイムで推定し品質を維持する技術と、(2)イベント開催時などネットワーク品質の劣化を未然に防止する技術、(3)基地局のカバーエリアを再設計して品質を維持する技術の3つで構成される。運用環境に近い条件下での検証で有効性を確認しているという。

(1)AIでネットワーク品質をリアルタイムで推定し品質を維持する技術は、体感品質(QoE)をリアルタイムで推定し、その低下を検知した際には、自動的に他の基地局のネットワークエリアに切り替える技術。

パケット解析によるQoE推定

パケット解析によるQoE推定

100GbpsのRANトラフィックに対応した高速なパケット解析から、利用者単位、アプリケーション単位の統計データ(KPI)を算出し、そのKPIから特徴量を選択するだけで容易にアプリケーションごとのQoEを推定するAIモデルを生成する世界初の技術で、多様なアプリケーションに柔軟に対応できるという。

(2)イベント開催時などネットワーク品質の劣化を未然に防止する技術については、例えば地域のイベントなど、通常時とは異なる人流の増加を検知することで、その後のグリッド単位でのトラフィック上昇を予兆する世界初の技術を開発。これにより、実証期間の99.8%の時間で利用者品質に影響を与えず、事前に基地局を起動することを実現した。

(3)基地局のカバーエリアを再設計して品質を維持する技術では、従来の単一セルにおける異常検知ではなく、周辺セルとトラフィック傾向を比較してAIにより判断することで、高い故障検知精度(適合率92%以上)を実現。少ない故障データでの教師あり学習や、教師なし学習にも対応しており、また、セルの重畳状況を踏まえたサービス影響度を把握することにより、優先的に復旧させるエリアを判断することが可能という。

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