「9月末で終わった第3四半期のグローバルでの売上は1億1600万ドル。前年同期比37%増という非常にアグレッシブな数字を達成できた。日本でも同様の成長を遂げている」
UTMベンダーのフォーティネットジャパンは2011年11月10日、記者説明会を開催。その冒頭で代表取締役社長の新免泰幸氏は、このように同社の好調ぶりをアピールした。その要因について新免氏は、モバイルデバイスやクラウドの普及などで変化するセキュリティのニーズに対して「適切なソリューションを供給し続けてきたから」と説明したが、この日発表された新製品により、ユーザー企業のニーズにさらに的確に応えられるようになるという。
FortiGateシリーズのラインナップ。赤字が今回発表された新製品だ |
今回発表された新製品は4つだ。まずは、同社のUTMシリーズのラインナップを拡充する2つの新モデルである。1つはSOHOや多店舗展開するエンタープライズなどをターゲットにした小規模オフィス向けの「FortiGate-40C」。ファイアウォール(FW)スループットは200Mbpsとなっている。価格はまだ未定だが10万円前後になる見込みで、出荷開始は来年1月末の予定である。
もう1つは、大規模向けの中ではエントリーモデルの位置づけとなる「FortiGate-1000C」である。従来、FWスループット16Gbpsの620Bの上のモデルは40Gbpsの1240Bと、「16Gbpsと40Gbpsの間が空いていた」(同社マーケティング プロダクトマネージメントディレクターの根岸正人氏)。FWスループット20Gbpsの1000Cはこの間を埋めるモデルである。
1000Cは、IPSやIPsec/SSL VPNなどで利用する暗号エンジンのパフォーマンス向上などが図られた同社の最新ASIC「FortiASIC CP8」を搭載。また、10GbE SFP+ インターフェースを2つ装備するほか、128GBの内蔵ストレージやバイパス機能などを備える。バイパス機能は、UTMの障害時にトラフィックをそのまま通すことで、ネットワークのダウンを避ける機能だ。1000Cの参考価格は376万8000円(初年度メーカー保守サポート含む)で12月中旬の出荷予定となっている。
新製品の主な特徴 |
残る2つの新製品「FortiGate-600C」と「FortiGate-300C」は、従来モデルをバージョンアップした「リフレッシュモデル」である。「機能強化をしながら、同時に価格を下げている」(根岸氏)のが特徴だという。
300Cは、従来モデルの310Bと比べて22%の低価格化を実現。参考価格は174万7000円となっている。FWスループットは8Gbpsでこれまでと変わらないが、従来はオプションだったストレージの標準搭載で、ログの保存やWAN高速化が可能になった。また、IPSとアンチウィルスのパフォーマンスが向上している。
FortiGate-300C |
また、600CもFWスループットは16Gbpsと従来モデルの620Bと同等だが、300Cと同様の機能強化が図られているほか、バイパス機能も新搭載。さらに1000Cと同じく、最新のFortiASIC CP8を採用している。価格は620Bよりも29%安い251万1000円。300Cはすでに出荷中、600Cは12月中旬からの出荷となっている。
高価な専用ロードバランサの代替にも
プライスパフォーマンスの向上が今回発表された新製品共通のポイントであるが、「価格を下げるということは、単純に言ったら売上が下がってしまう」(根岸氏)。そこでフォーティネットが戦略として打ち出しているのが、UTMの役割拡大だ。そもそもUTMとは、複数のセキュリティ機能を1台で実現するものだが、最近では従来以上にその役割が広がっているという。
まずはIPsec/SSL VPN装置としての役割だ。UTMはもともとこうしたリモートアクセス機能を提供しているが、スマートフォン/タブレット端末の普及により、そのニーズは急増している。根岸氏は、FortiGateシリーズはiPhoneやiPad、Androidのすべてをサポートしているほか、二要素認証に使うトークン用の認証サーバーにも早変わりすることなどをアピールした。
また、高価な専用ロードバランサの代わりに、FortiGateシリーズを採用するユーザー企業も最近増えているとのこと。例えばフォーティネットでは、ファイアウォールとSSLアクセラレータ、IPS専用機を1台のUTMに置き換える提案などをしているという。
FortiGateシリーズのロードバランサ機能 |