「DXの中心はアプリケーション」 F5ジャパンの木村カントリーマネージャー

「買収した製品が顕著にビジネスへ貢献し始めている」。「BIG-IPシリーズ」を展開するADC/ロードバランサー市場のリーダー、F5はここ数年、買収によりポートフォリオを拡大してきた。日本法人のカントリーマネージャーに就任した木村正範氏が強調するのは、DXを支えるプラットフォームとしての優位性だ。

F5ネットワークスジャパン カントリーマネージャー 木村正範氏

F5ネットワークスジャパン カントリーマネージャー 木村正範氏

――F5ジャパンのカントリーマネージャーに7月1日付で就任されました。まずはグローバル及び日本の最近のビジネス状況を教えてもらえますか。

木村 F5のビジネスは堅調に推移していますが、直近で特筆すべき点はソフトウェアビジネスの大きな成長です。なかでもサブスクリプションの売上は、2024年度の1~3月期に前年比20%を超える成長を遂げました。

5年ほど前からF5は、毎年のように買収を重ねながら、ポートフォリオを拡大してきました。その買収した製品が顕著にビジネスへ貢献し始めているのです。

日本でも同様のトレンドが見えています。特に今年度はエンタープライズ領域でソフトウェアシフトが力強く進んでいます。最近、NGINXが日本の売上拡大に大きく貢献しているのです。

――F5は2019年にNGINX社を買収しました。NGINXは、Webサーバーやリバースプロキシサーバー、ロードバランサーなどとして使われているOSS(Open Source Software)ですが、F5は商用版の「NGINX Plus」なども提供しています。

木村 DXが進展するなか、OSS版を使われていた企業が特定のアプリケーションについて、「ベンダーサポートが欲しい」「セキュリティ機能を強化したい」と、商用版を導入される新しいビジネスモデルが出来上がってきました。OSSのコミュニティに継続的に投資してきた結果として、NGINXの売上がかなり伸びています。

また、2021年に買収したVolterra社の製品を統合したSaaS「F5 Distributed Cloud Services」についても、WAAP(Web Applicationand API Protection)の部分の売上がエンタープライズで堅調に伸びています。

AIアプリケーションなどの展開にあたっては、多くのマイクロサービスが使われ、APIを介して様々なアプリケーションがつながります。そのため、APIのセキュリティリスクが非常に大きくなっていますが、F5のSaaSを導入すればシンプルに対策できます。

APIセキュリティは、短期的に非常にフォーカスしている領域であり、DX戦略としてオープンバンキングなどのAPIを軸としたサービスを提供されている金融、コンシューマーサービスを提供されている流通、通信などのお客様とのワークショップやディスカッションに注力しています。

――5Gインフラへの投資が期待ほど伸びておらず、通信事業者市場は停滞しているのではないですか。

木村 確かに少しソフトな結果になっています。5Gをどうマネタイズしていくかという課題を払拭しきれず、投資に慎重になられているためですが、それも昨年度で底打ちし、今年度に関しては通信事業者向けビジネスも2桁成長できる見込みです。一例ですが、MEC(Multi-access Edge Computing)などエッジ関連の新しいユースケースに一緒に取り組ませていただいています。自動車や金融などの処理をエッジ側で行うサービスにおいて、Distributed CloudをはじめとするF5のテクノロジーをどう活用できるか、といった話が進んでいます。

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木村正範(きむら・まさのり)氏

2007年12月にF5ジャパンに入社以来、様々なリーダー職を歴任。直近は、サービスプロバイダー、エンタープライズ・セールス事業を統括するシニアディレクターを務めていた。F5ジャパン入社以前は、日立システムアンドサービス(現・日立ソリューションズ)で4年間にわたり、ネットワークとセキュリティ事業におけるチャネルセールスに従事

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