NTTコミュニケーションズは2011年8月30日、本格的なクラウド型ユニファイドコミュニケーションサービス「UCaaS(ユーキャス)プラン」を発表した。従来から提供中の企業向けコミュニケーションサービス「Arcstar ユニファイド・コミュニケーション・サービス」の新メニューとして追加する。
「Arcstar ユニファイド・コミュニケーション・サービス」のラインナップ。年内にコンタクトセンターのサービスも提供予定 |
UCaaSプランは、シスコシステムズのサービスプロバイダー向けソリューション「Cisco Hosted Collaboration Solution」(HCS)をプラットフォームに採用して提供するもの。IP電話、インスタントメッセージ、ビデオ会議、Web会議、プレゼンスなど、世界のUC市場でトップシェアに立つシスコのUCソリューションをクラウド型サービスとして利用できる。提供料金は、基本料金が1企業当たり月額3万6000円~、拠点ごとにかかるゲートウェイ料金が月額1万800円~、1ID当たりの料金が月額900円~となっている。また別途、NTTコムのVPNサービスの料金も必要になる。
UCaaSプランのサービス概要 |
UCaaSプランの特徴として、NTTコミュニケーションズ 取締役 ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部長の若井昌宏氏が強調したのは、「グローバルでシームレスに利用可能」という点だ。
最近、企業の間でUCの導入機運が高まっている背景の1つには、グローバル化への対応が重要な経営課題となっていることが挙げられる。海外拠点にいる社員とのコラボレーション強化などを通じて、競争力をいっそう高めていく必要性に迫られているわけだが、そのために有効な策として期待されているのがUCだ。ただし、実際にグローバルでUCを導入するうえでは、国によってネットワーク環境が大きく違っていることが課題となっている。これに対して、UCaaSプランは世界158カ国での提供を予定。UCとデータネットワークをワンストップでNTTコムが提供することで、「グローバルで同じ品質を実現できる」という。
また、若井氏は通信コストの削減もメリットとして挙げた。UCaaSプランでは、国内外問わず拠点間の内線通話が定額。さらに、提供国の拡大が同日発表された「SIP Trunkingプラン」を組み合わせることで、海外との外線発着信も低額で利用できるという。「概ね半額になる」とのことだ。SIP Trunkingプランの提供国は従来シンガポールのみだったが、香港、イギリス、オーストラリアなど世界15カ国に今回拡大。2012年3月末までには世界30カ国に広げる予定だという。また、通信料以外も含めたトータルコストについても「少なくとも2割のコスト削減は見込める」とした。
UCaaSプランの提供範囲。NTTコムが構築から保守・運用まで一元サポート。世界中の拠点や外出先、自宅などでUCを活用できる |
UCへの注目が最近高まっている理由としては、BCP(事業継続)もある。東日本大震災は多くの企業に在宅勤務やモバイルワークなど、いつでもどこでも働けるワークスタイルの必要性を痛感させたが、UCを活用すれば場所に囚われずに最適なコラボレーションが行えるようになる。
UCaaSプランの場合も、普段いるオフィスだけでなく、外出先や自宅、他拠点など様々な場所でビデオ会議や資料共有などの機能を利用可能。また、1つの電話番号で自席電話と携帯電話の両方を同時に呼び出せる「シングルナンバーリーチ」、他拠点の固定電話や自宅PCのソフトフォンにログインすると自分の電話番号・端末設定で利用できる「エクステンションモビリティ」などもサポートする。さらに今後、スマートフォン対応などのモビリティ強化を図っていくという。
「グローバル展開、コスト削減、BCPという企業が現在抱える3つの経営課題をワンセットで解決できるのがUCaaSプラン。APACを中心に海外にも打って出ることで、2015年度に100億円の売上を目指したい」と若井氏は目標を語った。
UCaaSプランは、グローバル展開・コスト削減・BCP(事業継続)という企業が抱える3つの課題をワンセットで解決するソリューションになるとアピール |