――OSS/BSSが今、通信事業者に貢献できることとは何ですか。
クマー 通信事業者の方とお話ししていて分かった彼らの悩みは、ほとんどの事業者が同じようなサービスを提供しているということです。こうしたなか他社との差別化を図るのは困難であり、その方策といえば顧客との関係を良好にしていくことぐらいしかありません。「私は特別扱いされている」という感覚を個々の顧客に与える必要があるのです。
他方、トリプルプレイのような複合サービスが最近多くなっていますが、個々のサービスを所管する事業部が異なっているため、速やかに顧客に対応できないケースも起こっています。また、CRMやビリングといったOSS/BSSはサイロ型で構築されており、エンド・トゥ・エンドでは可視化されていません。
そこでプログレスでは、顧客の“全体像”を一元管理するだけでなく、トラブルなどにその場ですぐ対応可能な仕組みを提供することで、カスタマーエクスペリエンスの向上に貢献したいと考えています。
――具体的には、どのようなソリューションを用意していますか。
クマー 我々が今、特に注力しているのは次の3つです。まず中心となるのが「Communications Order Management」(COM)です。これは顧客からオーダーを受けてからサービスを提供するまでの一連の流れを管理するもので、特にトリプルプレイのような複合サービス向けの機能を重要視しています。
2番目の「Order Visibility & Assurance」(OVA)は、おそらく他社にはないユニークなソリューションです。COMと同様、OVAもサービス提供までの一連のプロセスを監視するものですが、既存システムにアドオンすることで、他社製システムも含めてプロセス全体をエンド・トゥ・エンドで可視化できます。
3番目の「Integrated Trouble Management」(ITM)は、顧客が気付く前に例外処理などのトラブル発生を察知し、解決策の早期実施を可能にするソリューションです。
解約率80%が……
――プログレスのソリューションを実際に導入した通信事業者では、どんな効果が出ていますか。
クマー 例えば米レベル3コミュニケーションズでは、ネットワークのプロビジョニングに要する時間が70%短縮されました。その結果、従来より短期間でサービスが開通するようになり、顧客満足度が上がりました。また、ブラジルのGVTは、高い解約率という課題を解決しています。以前は全オーダーの20%が例外処理で、それを経験した顧客の80%が解約に至っていました。しかし、顧客が気付く前に問題をキャッチし、対策を施せるようになったため、解約率は大幅に低下しました。
――OVAは他社にはないユニークなものとのことですが、COMなどについては競合ベンダーにも同様のソリューションがあるかと思います。他社との違いはどこにありますか。
クマー 他社の場合、すべてをそのベンダーの製品に置き換えなければ、彼らが提唱するソリューションは実現できません。しかし、プログレスは違います。多大な投資をした既存OSS/BSSをリプレースすることなく、それらシステムにアドオンするなどの形で効果を出せるのです。また、約80%の完成度を持つテンプレートのような部品を用意しているので、スピーディに運用を開始できます。