NTTが世界記録更新、4コア光ファイバーで1.6Tbpsの10km伝送実験に初成功

NTTが、フィールド環境において世界初となるファイバー当たり毎秒1.6テラビット(1.6Tbps)の10km伝送に成功した。従来の実用レベルの4倍以上となる大容量化を実証。次世代のデータセンターネットワークにおいて、イーサネットの大容量化技術として期待される。

データセンターネットワークでは現在、大容量化のニーズが非常に強い。そのため400GbE(ギガビットイーサネット)の導入が進展しており、さらに標準化の議論が進行しているる次世代規格の800GbEや1.6TbEへの期待も高まっている。

NTTが2023年10月5日に発表した実証実験の成果は、その1.6Tbps光伝送の実用化に向けた大きな一歩となる。フィールド環境に敷設したマルチコアファイバーを使って、世界で初めて1.6Tbps光伝送に成功したのだ。NTT未来ねっと研究所 イノベイティブフォトニックネットワークプロジェクトの谷口寛樹氏は、「従来の実用レベルの4倍以上の大容量化」につながるものと、その成果の大きさを強調した。

NTT未来ねっと研究所 イノベイティブフォトニックネットワークプロジェクトの谷口寛樹氏

NTT未来ねっと研究所 イノベイティブフォトニックネットワークプロジェクトの谷口寛樹氏

今回の実証のポイントは、「1レーン当たりの高速化」にある。

標準化団体で議論中の800GbEおよび1.6TbE規格は、1レーン当たりの伝送レートが200Gbpsの光信号を4つ、または8つ並列伝送するものだ。方式としては、シングルコアファイバーに複数の波長チャネルを使って信号を並列伝送するWDM方式、複数の光ファイバーを使って並列伝送するPSM方式がある。下図表のように、200G×4WDMや200G×4PSM、200G×8PSMといったかたちで800Gbps、1.6Tbpsを実現しようとしている。

イーサネット標準化規格の変遷

イーサネット標準規格の変遷

だが、谷口氏によれば「1.6Tbpsを低コスト化し、経済的に実現するには、1レーン当たりの高速化とレーン数の削減が必要」だ。つまり、1レーン当たりの伝送容量を今の200Gの2倍にして、それを4本束ねる「400G×4」構成である。ただし、「400Gの超高速信号を束ねるのは、WDMとPSM方式では難しい」と、既存方式では技術的な限界が見えていた。

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