3.2.1 実質2ヶ月で設計から開発・テストまでを実施
2006年1月の執行会議で正式承認され、同年4月のオープンを目指してNexti構築プロジェクトは勢いよくスタートしました。そして予定通り、3月末にはユーザー限定のトライアルサービスを開始。2006年4月17日、Nextiは全社に向けて(しかし、ひっそりと)オープンしました。
この実質2ヶ月程度の間に、パッケージ選定からSNSのコンセプト設計、サイト名称決定、デザイン設計、機能(カスタマイズ要件)設計、ハード見積・発注・設置、開発、システム運営テスト、利用規約の策定におよぶ全工程を駆け抜けるように一気に進めました。今回の社内SNS導入の発端は「企業変革の施策」だったこともあり、極力短期間でサービスを開始させて社員に驚きを与え、「今までの施策とは違う」というインパクトを与えることが、メッセージを伝える上で重要だと考えたのです。
当然、数名のWGメンバーではこなせない量のタスクが発生しました。そこで2月中旬に社内イントラネットを通じて全社から同志を募ったところ、30名ほどの社員が新たにメンバーとして参加。WGメンバーと思いや経緯を共有しながら、検討を進めていきました。
3.2.2 社内コミュニケーション活性化のためにSNSに求めるポイント
まずパッケージ選定に当たっては、NTTデータグループ内には類似のSNSパッケージが2製品あり(当時)、市販されている3製品と合わせて合計5つの製品を対象としました。WGメンバーで議論した目的や使われ方――円滑な社内コミュニケーションを醸成し、前述の「発信」「気づき」「つながり」という3つの“場”を実現する――に合致したシステムを構築できるか、が選定の重要なポイントでした。その上で、機能充足度や動作実績、コスト、納期の4つを指標軸としました。例えば、機能充足度については、以下の理由に基づきチェックポイントを定めました。
・日記やコミュニティへの書き込みにファイルを添付できるか
社内コミュニケーションの活性化を図るためには、テキスト以外の様々な情報を付加できるのが望ましいと考えたためです(図3-6参照)。
図表3-6 ファイル添付エリアの画像 |
・SNSとして基本機能が高いレベルにあり、かつ標準実装されているか(例えば、全登録者向けの質問や回答機能)
他にも日記やコミュニティ、友人リンク、メッセージ、紹介文といった機能はコミュニケーションを支える上で重要だと考え、重点的にチェックしました。
・運営管理者向けの機能がWebベースで提供されているか
リスペクターズの活動は、経営層から承認を得ているとはいえ、自発的自由意志によるボランティアです。サービス開始後は、本来の業務を抱えながら運営業務を回すことになります。管理者からのお知らせやユーザーへの一斉メール配信といった運営負荷をできるだけ低減したかったのです。
こうした観点から調査した結果、5つのSNSパッケージは基本機能ではあまり差はありませんでしたが、想定するユーザーや成り立ちの違いによって製品ごとの特性も垣間見られました。例えば、オープンソースソフトをベースにしたある製品は「地域コミュニティの活性化」を目的として、対象地域の地図と日記・コミュニティの書き込みを連動させる機能を装備していました。また別の製品は元々、ブログエンジンだったものにSNS機能を追加しており、トラックバックなどの機能が充実していました。
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