中国の大手セキュリティベンダーが本格上陸――NSFOCUSが日本法人設立

中国のセキュリティベンダー、NSFOCUS Information Technology社は2011年1月15日に日本法人「NSFOCSUジャパン」を設立、1月20日に記者説明会を開催した。

NSFOCUS Information Technology社 副社長 呉云坤氏
NSFOCUS Information Technology社 副社長 呉云坤氏

NSFOCUSは、中国・北京市に本社を置くセキュリティベンダーだ。従業員数は850名(2010年12月現在)。来日した副社長の呉云坤(ウー・ユンクン)氏によれば、社名のNSFOCUSとは「Network Security Focus」の意。2000年の創業以来、ネットワークセキュリティに特化しており、中国国内ではトップベンダーの地位を築いているという。例えばIDC Chinaの調査では、中国のIPS(不正侵入防止システム)市場において最も高い導入率(20.8%)と評価されたそうだ。また、フロスト&サリバン社のアジア太平洋地区IPSシェアリーダーシップ賞も獲得しているとのこと。「我々の主な顧客は中国の4大通信事業者や金融機関、政府、大学などのハイエンドユーザー。売上は毎年40%ずつ伸びている」(呉副社長)という。

中国での主な実績。キャリアや金融などハイエンドユーザーが中心だという
中国での主な実績。キャリアや金融などハイエンドユーザーが中心だという

今回設立した日本法人は、NSFOCUSにとって初の海外拠点である。グローバル化を戦略目標としたのは2006年のことで、いよいよ日本でその本格的な第一歩を踏み出した。さらに1月末には北米現地法人、2011年中にはシンガポール支店を開設する計画となっている。

日本法人社長に就任した栗原章通氏は、NSFOCUSの強みについて、「研究開発部門に尽きる」と説明した。中国はセキュリティ攻撃の踏み台とされることが多く、日本への攻撃の80%以上は中国経由と言われている。NSFOCUSでは、こうした中国の状況を研究開発に有効利用。わざと脆弱性を持たせた囮りシステム「ハニーポット」を中国30カ所に設置し、セキュリティ攻撃の調査・分析・研究を行っている。攻撃手法を研究するリサーチャーの数は40名。栗原氏はこの規模について「世界にないとは言わないが、トップレベルにある」とした。また現在、売上の20%を研究開発に投資しているが、今後も当面これを堅持していくという。

NSFOCUSジャパン 代表取締役社長 栗原章通氏
NSFOCUSジャパン 代表取締役社長 栗原章通氏

NSFOCUSが提供する具体的な製品はまず、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)、IPS、DDoS攻撃防御システム(ADS)だ。標準価格は、WAFが250万円~、IPSが130万円~、ADSが数千万円となっている。また、Webセキュリティに特化した24時間常時監視サービスや脆弱性診断サービスも提供する。さらにNSFOCUSジャパン事業統括の椋野慎一氏は、今年春ぐらいにDNSモニタリングサービス、今年夏ぐらいに仮想化に対応したソフトウェアWAFの提供を行う予定であることを明らかにした。

国内における主要パートナーは、インフィニテック、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)、ソフィア総合研究所、日本ユニシス、ネットワールドの5社。初年度の売上目標は1億円だという。

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