IIJは2023年4月18日、英国現地法人のIIJ Europe Limited（本社ロンドン、IIJ Europe）とともに、アイスランドの水力発電所にマイクロデータセンター（MDC）を設置し、国・地域をまたいで分散配置したデータセンターを統合的に運用・管理するICTインフラの確立に向けた実証実験を今年4月より2024年3月まで実施することを発表した。
アイスランド・イラフォス水力発電所
MDCはIIJがサービスを提供している小型データセンター（参考記事：IIJがローカル5GやIoTエッジ向けマイクロデータセンターを提供開始）。サーバ冷却用空調ユニット、UPS、セキュリティカメラなどデータセンターに必要な設備や機能を備えた小型サイズ（高さ約1～2メートル）のデータセンターで、屋内・屋外を問わず設置できるのが利点だという。
今回の実証実験ではこのMDCを、国営電力会社Landvirkjun社の協力を得てアイスランド南部のイラフォス水力発電所に設置。周辺に事業所のない無人環境でも運用できることをテストし、データエンバシー（同盟国へのデータ保管）などの国をまたぐ分散バックアップ用途での新しい市場の可能性を検証するという。さらに、IIJ Europeがアイスランドに設置したMDCを遠隔制御し、IIJグループ全体でクラウドやIoTなど各種サービスとの連携による価値創出に向けた検証等を行うとのことだ。
また、この実証実験で使用するMDCの電力は、Landvirkjun社より再生可能エネルギー100％で供給される。IIJは自社データセンターにおいてカーボンニュートラルへの取り組みを推進しており、再生可能エネルギー100％の電力が利用できるアイスランドでの実験の実施を決定したという。再エネ100%電力を利用したMDCのテストマーケティングを行い、需要の発掘を図る。
この実証実験に対して、アイスランドの駐日特命全権大使であるSTEFÁN HAUKUR JÓHANNESSON氏は「地球環境を保護するという世界的なニーズに応え、より持続可能なビジネス慣行に対するIIJの明確なコミットメントを示すものと理解します」とコメントを寄せている。
