NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は2010年10月28日~29日、帝国ホテル東京で「NTT Communications Forum 2010」を開催した。初日のオープニングでは、有馬彰社長が「NTTコミュニケーションズの取り組みについて~お客さまと共に創る新しい成長モデル~」と題した基調講演を行い、同社の事業の3本柱である「法人ビジネス」「グローバルビジネス」「ネットビジネス」のなかでも特に、法人ビジネスについて時間を割いて説明した。
基調講演を行う有馬彰社長 |
有馬社長は、「クラウド・コンピューティングで2020年までに40兆円の新しいサービス市場が創出できる」という経済産業省の調査資料を引き合いに出すなどし、今後の法人ビジネスのキーワードとして「クラウド」を挙げた。だがクラウドに対してユーザーは、セキュリティ(情報漏えい)やネットワーク(帯域やレスポンス)、カスタマイズ困難といった不安や課題を挙げており、「クラウドを導入済みの企業はまだ1割弱、導入検討中を合わせても2割程度」という現状を紹介した。
こうしたなかでNTTコムは、クラウドサービス「BizCITY」を展開中であることをアピールした。有馬社長はBizCITYの特徴として、「ネットワークと一体となった提供がワンストップで可能」「通信(事業)で鍛えた安心・安全なサービス基盤」「ユーザーニーズに合わせた豊富なラインナップ」を挙げた。そのうえで、社内サーバーのアウトソーシングサービスである「Bizホスティング」や、仮想デスクトップサービス「Bizデスクトップ」について詳しく紹介した。
「ハイブリッドクラウド」等を新投入
さらに有馬社長は、今後投入する予定の3つの新サービスを披露した。
1つめは「ハイブリッドクラウド」だ。まだまだクラウドに対して不安を持つユーザーが多いなかで、企業内のすべてのシステムをクラウドに移行させるのは難しい。そこで、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスをセキュアに利用できるサービスを提供し、ユーザーニーズに最適なクラウドのシームレスな提供を目指す。有馬社長によれば、例えば顧客情報を扱うといったセキュリティを要求されるシステムは引き続きユーザー自身のシステムを使ってもらう(オンプレミス)。そこまでの高セキュリティは必要ないが、ある程度の柔軟性が必要なものは、専用型のプライベートクラウドを利用してもらう。社内の情報交換システム等については、より低コストで使えるパブリッククラウドを利用してもらうというイメージだ。パブリッククラウドについては、NTTコムのサービス以外にも、マイクロソフトの「Windows Azure Platform」との接続を実現しており、「順次、他社との接続も実施していく」という。
2つめは「キータッチパス」だ。同社が「クラウド時代の新たな認証サービス」と位置付けるもので、ユーザーのキーボード入力の癖や特徴を利用した新たな本人確認サービスだ。講演では、大学でのeラーニングの適用例を示した。有馬社長によれば、「本人が受講登録をした後に他者が代行受講をする場合もある」という。キータッチパスを導入し、あらかじめ受講者のキー入力の特徴データを登録しておくことで、なりすましを発見し、本人がきちんと受講するよう指導することができる。
3つめは有馬社長が「クラウドに相応しい新しいネットワークサービスを近々に出したい」と語った「新VPNサービス」だ。レイヤ2と3の両方を提供できるようにする「レイヤシームレス」、クラウド基盤への接続インターフェースをあらかじめ標準装備する「クラウドシームレス」、国内外のネットワークを完全一体網として提供する「グローバルシームレス」、端末からクラウド基盤に至るまですべてのレイヤをシームレスにオペレーションする「シームレスオペレーション」という4つの特徴を持つサービスという。
グローバルでの内線サービスも準備
このほか、「グローバルビジネス」では、国内外の事務所を内線化することで通信コストを削減する「企業向けグローバルボイス」という準備中の新サービスを紹介したほか、「ネットビジネス」では子会社のNTTぷららが提供中の「ひかりTV」を紹介。9月末で120万の会員数が、2011年3月末には140万になるとの見通しを示した。
最後に有馬社長は、「ユーザーの皆様が抱える経営課題の解決に向け、ICTの側面から是非お手伝いをさせていただきたい」と語り、講演を締め括った。