池袋サンシャインシティで開催中のイベント「ビジネスコミュニケーション東京2010」で2010年10月14日、NEC第二企業ネットワークソリューション事業部パートナーシステム部長の奥山進氏が「ワークスタイル改革」をテーマにした講演を行った。
奥山氏はまず、ワークスタイル改革が必要になっている大きな時代背景として、少子高齢化による労働人口の減少や、企業のグローバル化による時間・距離を超えた仕事の増加、多様化・複雑化するビジネス環境などがあると指摘。こうした状況に企業が柔軟かつスピーディに対応していくためには、従来のピラミッド型組織構造やトップダウン型の意思決定ではなく、フラットな組織構成とコラボ型意思決定が求められるとし、それを可能とするのがワークスタイル改革だとした。
環境の変化に迅速に対応するうえではワークスタイル改革が必要 |
では、どこからワークスタイル改革を始めればいいのか。奥山氏が第一の関門として挙げたのは「ペーパーレス」である。NECではワークスタイル改革を自ら実践するため「C&Cオフィス」を自社内で展開しているが、その6年間の経験から「確信を持って言える」という。単なる紙代やコピー代、保存スペースの削減だけではなく、「いつでもどこでもコミュニケーション」につながる効果が多数あるためだ。
ワークスタイル改革の第一の関門は「ペーパーレス」 |
例えば、すべての書類が電子化されていれば、自宅や外出先など、どこからでも利用することができる。また、紙のときにはある部門だけの資料だったのが、電子化すると部門や会社をまたがった利用も容易になり、コラボレーションが加速する。このように「ペーパーレスには、いろいろな波及効果がある」という。
そのうえで奥山氏はペーパーレス化を成功させる秘訣として3つのポイントを紹介した。まずは「適切なシステム化」だ。例えば、NECでは作業用と資料閲覧用の2つのディスプレイを用いるマルチディスプレイを導入している。そのときだけ参照するために資料を印刷するケースはよくあるが、マルチディスプレイであれば、紙に出力しなくても効率的に作業できる。
ペーパーレス化成功の秘訣 |
2点目は「紙を出力しにくい環境作り」だ。例えば、印刷後の放置を削減するため認証印刷の導入や、資料投影による会議資料の削減。また、プリンターの数を減らすことも有効で、C&Cオフィスでは200人に1台の割合でしかプリンターを設置していないという。
最後の3点目は「経営幹部の率先垂範」である。役員など経営幹部が自ら模範行動を示すことが大切だという。