NTTぷららは2010年9月16日、映像配信サービス「ひかりTV」の現状と今後の事業展開について記者説明会を開催した。3月末時点で101万だった会員数は毎月3~4万増で推移しており、9月末には120万会員となる見込みだ。
説明を行った板東浩二社長は、上期に実施した主な取り組みとして、(1)コンテンツ拡充と(2)サービス性・端末機能の向上を挙げた。
「ひかりTV」の事業戦略を語るNTTぷららの板東浩二社長 |
(1)については「3D対応コンテンツの提供」「プレビューコンテンツの提供」「見逃し視聴コンテンツの拡充」を実施した。なかでも3Dコンテンツの提供では、7月8日にプロ野球公式戦・阪神タイガース対東京ヤクルトスワローズの11回戦を世界で初めて3D生中継したことなどを例に挙げ、「ユーザーの関心が高く、集客力がある」と評価、「今後はスポーツやアニメを中心に積極的に3Dに取り組みたい」と語った。
(2)では、「リモート録画予約機能の提供」「テレビ/AVパソコンのひかりTV対応推進」「ハードディスク内蔵チューナーの提供」を行った。リモート録画予約機能の提供では携帯電話、PC、iPadを利用したインターネット経由の録画予約を紹介し、「まだユーザーは少ないが、実際に利用した方々の評価は高い」と述べた。また、現在売り切りで提供しているハードディスク内蔵チューナーを、年内にレンタル提供を開始することも明らかにした。
IPTVでは初のBS放送の再送信を開始
NTTぷららでは、2010年度末(2011年3月末)には会員数140万の獲得を目指す。そのための下期の新たな事業展開として、(1)映像コンテンツのさらなる拡充と(2)IPTVによる新たなライフスタイル創造を挙げた。
「ひかりTV」の会員獲得推移と年度末の目標 |
(1)では具体的に、「BS放送のIP再送信サービス提供」「地デジ放送のIP再送信サービス提供エリア拡大」「コンテンツのHD化推進」の3つに取り組む。
IPTVでは初となるBS放送のIP再送信サービスはまず、10月1日から「WOWOW」の提供を開始する。ひかりTVのオプションサービスとして月額2415円で提供するが、11月末までは無料となる。9月21日に申込受付を開始する。その後はNHKから再送信同意を得られれば、12月にNHK BShi/BS1/BS2の提供を開始する予定だ。地デジの再送信はNGN(フレッツ 光ネクスト)のみの対応だったが、BSのIP再送信は、NTT東西のフレッツ光すべてで視聴できる。その理由を板東社長は「地デジはエリア限定での提供が必要だが、エリア限定機能はNGNにしかない」と説明。利用帯域や配信方式は双方同じという。また、その他のBS放送事業者とも協議中で、「相手のあることだが、我々の希望としては年度末か来春には提供を始めたい」という。
BS放送のIP再送信サービスは「WOWOW」から提供開始 |
地デジ放送のIP再送信サービス提供エリア拡大については、年度内に石川県と沖縄県での提供を予定しており、19都道府県にエリアを拡大する。さらに板東社長は「来年度早々、アナログ放送の停波までにもう1~2県での提供を始めたい」との意向を述べた。コンテンツのHD化推進については、年内に地デジを含め全93チャネルのうち、58チャネルをHD対応にする予定だ。
拡大する地デジIP再送信サービスのエリア |
簡単・便利なショッピングサービス
(2)のIPTVによる新たなライフスタイル創造では、「ショッピング機能(tコマース)の提供」と「スタートオーバーのトライアル提供」を行う。ショッピング機能では、説明会当日の9月16日14時から、「ひかりTVショッピング」を開始した。ひかりTVの画面上からリモコン操作で商品の選択から注文までを完了できる簡単・便利なサービスという。
スタートオーバーは、放送中の番組を最初から楽しめるサービスであり、リアルタイム録画している番組をVOD(Video On Demand)方式で提供する。トライアル提供については、10月14日から始まる、プロ野球パ・リーグのクライマックスシリーズ・ファイナルステージで国内初の提供を予定している。ただし、許諾を得ている埼玉西武ライオンズ、福岡ソフトバンクホークス、千葉ロッテマリーンズ、オリックス・バファローズの4球団の主催ゲームに限られる。ファイナルステージはすべて、ペナントレース1位球団の主催ゲームになるが、9月15日現在、埼玉西武が1位マジック(1位確定までに必要な勝ち数)を「5」としており、2位、3位も福岡ソフトバンク、千葉ロッテであることから、トライアルは問題なく行われる見込みだ。
パ・リーグのクライマックスシリーズ・ファイナルステージのスタートオーバートライアルは、ひかりTVの独自編成チャンネルで提供する |
板東社長は、これらの取り組みにより、「2010年度末に140万会員を獲得することはもちろんだが、日本のコンテンツ市場への貢献も果たしていきたい」と語った。
展示コーナーでは、開発中のリモート録画予約用iPhoneアプリケーションも紹介されていた |