サテライト会場で演奏するスネアドラム奏者と手拍子する観客
「今までは、その場に行かないと鑑賞できなかったが、IOWN構想の技術を活用して離れた場所をつなぐことで、サテライト会場でも体験できる」
東京オペラシティで11月7日に開催された「第179回 NTT東日本 N響コンサート」で、NHK交響楽団(N響)はIOWN技術を用いて演奏。これに先立ち行われた記者説明会において、NTT東日本グループのNTT ArtTechnologyで代表取締役社長を務める国枝学氏は、今回の取り組みの意義を冒頭のように説明した。
(左から)NTT ArtTechnology 代表取締役社長 国枝学氏、
NTT東日本 経営企画部 IOWN推進室 担当部長 薄井宗一郎氏
N響コンサートで実施されたのは、IOWN構想の柱であるオールフォトニクス・ネットワークの要素技術の1つ、低遅延技術を活用したリモートでの演奏・鑑賞だ。
東京・初台の東京オペラシティから約10km離れた東京・調布のドルトン東京学園にサテライト会場を用意。
N響による演奏をリモートで体験可能にしたほか、アンコール時にはサテライト会場にいるスネアドラム奏者とのリモート演奏も行った。アンコールで演奏されたのは「ラデツキー行進曲」。両会場の観客の手拍子も低遅延で双方向に送ることで一体感を創出した。
IOWNの低遅延技術を用いたリモート演奏の概要
従来技術では、数百ミリ秒程度の遅延が発生していたが、IOWN技術を適用することで20ミリ秒以下に短縮。プロ奏者でも違和感がないレベルでのリモート演奏を可能にするとともに、聴衆にも高い満足感を提供可能にしたという。