セキュリティベンダーのクロスビーム・システムズ・ジャパンとチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズは2010年9月7日、共同で記者会見を開いた。チェック・ポイントは、クロスビームのハードウェアを採用したキャリア向け統合アプライアンス製品「Check Point IAS(Integrated Appliance Solution) Bladed Hardware」(以下、IAS)を同日から月額料金体系で販売する。
会見ではまず、来日した米クロスビーム代表取締役兼CEOのマイク・ラファロ氏が同社のテクノロジーと特徴と日本での最近の実績について説明した。
米クロスビーム・システムズ代表取締役兼CEOのマイク・ラファロ氏 |
クロスビームは米マサチューセッツ州に本社を置くセキュリティプラットフォームベンダーだ。同社の製品の1つで、今回チェック・ポイントが採用したXシリーズは、スイッチやファイアウォール、ゲートウェイなどのネットワークセキュリティ機能を1つのシャーシに包含できるハードウェア。1つのブレードで最大250のゲートウェイを集約できるという。
チェック・ポイントとは以前から提携関係にあり、今年2月に外部の試験会社により行ったXシリーズとチェック・ポイントのセキュリティゲートウェイR70ソフトウェアを使ったテストでは、最悪のトラフィックコンディションのもとでも、1秒当たり180万パケットを処理できることを確認したそうだ。「Xシリーズが世界最速のファイアウォールであることを証明した」(ラファロ氏)。
また、ラファロ氏は、「クロスビームのXシリーズとチェック・ポイントのファイアウォールの組み合わせはベストの選択だった」というテレフォニカO2のセキュリティ技術部長の言葉を引用。そのうえで、爆発的にデータトラフィックの増加をもたらしているクラウド、仮想化、スマートフォンなどのトレンドは、「すべてクロスビームにプラスに働いている」とした。
さらに、NTTコミュニケーションズとファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイにXシリーズを納入したことも紹介。NTTコミュニケーションズは、Xシリーズの導入により、それまで5カ所のデータセンターに散らばっていた50のセキュリティシステムを、東京の1カ所のデータセンターに集約できたという。これにより、運用管理コストの劇的な削減を実現したとのことだ。
NTTコミュニケーションズに採用されたクロスビームXシリーズ。導入はユニアデックスと共に行ったという |
続いてチェック・ポイント代表取締役社長の杉山隆弘氏が登壇。同日から販売を開始したIASについて説明した。同製品はチェック・ポイントの製品として販売され、サポートもチェック・ポイントがダイレクトに提供するという。
チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ代表取締役社長の杉山隆弘氏 |
IASがユニークなのは、料金体系が月額料金となっている点だ。主たるターゲットは、マネージドセキュリティサービスを提供する通信事業者やISPなどのサービスプロバイダー。IASを採用することで、サービスプロバイダーはクラウド型のマネージドセキュリティサービスの提供が可能になるが、月額料金制のため、最初に大きな設備投資をする必要がなく、サービス利用者の増加に合わせて設備を増強していけるという。
先に紹介したNTTコミュニケーションズは、自社のセキュリティシステムの集約・統合のために今回導入したが、顧客向けに今後マネージドセキュリティサービスを提供していく考えも持っているという。
「ファイアウォールは増え過ぎた。運用限界が来ている」とネットワークセキュリティが現在直面している課題を指摘したうえで、IASについて「500でも1000でも、アプライアンスの存在を一掃することができる」と強調した杉山氏。IASをサービスプロバイダーに提供し、日本国内に数多く散らばっているセキュリティアプライアンスをIASによって一掃していくことが、チェック・ポイントとクロスビームの共通の目標とのことだ。
クロスビームXシリーズの筺体はX45 ChassisとX80 Chassisの2タイプあり、価格はOSなどすべて含んで、X45が2000万円強程度、X80が4000万円強程度とのこと。IASの月額料金は、そのおよそ40分の1になるという |