――第1回ではユニファイドコミュニケーション(UC)の定義、第2回ではUCに至るまでの企業コミュニケーションの変遷をテーマにしました。今回はまず、UCは具体的にどのようなアプリケーションやツールで構成されるのかについて整理したいと思います。
竹井 UCの全体像を示したのが下の図表です。
図表 UCシステムの全体像 |
――これがUCの最終形と考えてよろしいですか。
千村 そうですね。FMCが実現されたIPネットワークインフラの上に、テキスト/音声/ビジュアルのコミュニケーションツールがあり、それがSFAやCRMなどさまざまな業務アプリケーションと連携しているというのが、UCの1つの最終形といえます。
――かつてUCというと「まずは電話のIP化から」という印象もありましたが、最近は必ずしもそうではなくなってきている気がします。
千村 時代背景的にVoIPからUCは進化してきたこともあって、つい我々のようなPBXメーカーは「音声から」と言いたくなるのですが、この最終形に辿り着くまでのパス(経路)は複数あると思います。メールとIMなどのテキストコミュニケーションツールの統合から始めたり、ネットワークインフラの統合から始めたり等、いろいろな攻め方があるでしょう。
――企業は、自社の状況や優先度に応じて、コミュニケーションの統合化を進めていけばいいのですね。
竹井 例えば、私自身の話をしますと、出社してまずアクセスするのが社内SNSです。そこで社内ミニブログ(Twitter相当)を見て世界中で起きている業界の最新情報を入手したり自ら発信したりします。また人が書いたブログを見て、今抱えている問題の解決や新規企画に有用な情報だと思ったら、「もっと詳しく知りたい」とか「私はこういう意見を持っている」などとコメントしたり、ワンクリックでメールやリアルタイムのP2Pコミュニケーションができるインスタントメッセージを送るんです。そして、さらに込み入った話となれば、同じくワンクリックで電話をかけて話をすると。
つまり、音声をベースに統合しなければならないというルールはなく、業務で今よく使われているコミュニケーションツールをベースに、そこから統合を始めていけばいいと思うのです。