[ケーススタディ]WISS安定したWi-Fi環境を提供! サスティナブルな運用を目指す

最大200人に上るワークショップ(WS)の参加者に、安定したインターネット環境を提供するために採用したのがヤマハの製品。担当者が数年ごとに入れ替わる中でもサスティナブル(持続可能)な運用が可能だ。

「WISS」(Workshop on Interactive Systems and Software)は、日本ソフトウェア科学会 インタラクティブシステムとソフトウェア(ISS)研究会が毎年2泊3日の合宿形式で開催しているワークショップだ。一方通行の発表ではなく、講演と並行して様々な意見交換を行う場としてテキストチャット環境を用意し、参加者の積極的な議論や濃密な質疑応答を促してきた。

そのインフラとして、ハブでつないだだけの簡易的なLANが提供されてきたが、2009年頃から環境が徐々に変化した。スマートフォンやソーシャルネットワークの普及も相まって「いつでもどこでもネットワークにつながるのが当たり前」になってきたのだ。

ちょうどこの時期、研究者同士のつながりからWISSのネットワーク構築を手助けすることになった国士舘大学 理工学部理工学科 電子情報学系教授の中村嘉志氏によると、「せっかくだから、閉じたLANだけでなくインターネット接続も提供しようと考えた」。すると予想以上にヘビーに利用されたうえ、会場からの動画配信も始まり、「普通のオフィスのような環境を提供するインフラとしての役割が期待されるようになってしまった」という。

(左から)ヤマハ 研究開発統括部 第1研究開発部 サービスプラットフォームグループ 主事の原貴洋氏、国士舘大学 理工学部理工学科電子情報学系教授の中村嘉志氏、明星大学 情報学部 情報学科准教授の丸山一貴氏
(左から)ヤマハ 研究開発統括部 第1研究開発部 サービスプラットフォームグループ 主事の原貴洋氏、
国士舘大学 理工学部理工学科電子情報学系教授の中村嘉志氏、
明星大学 情報学部 情報学科准教授の丸山一貴氏

WSに求められるインフラ模索通常の大学や企業のネットワークとは異なり、WISSのネットワークはワークショップの間だけ展開されるテンポラリなものだが、果たす役割は大きい。ネットワーク担当になった研究者らが5年ずつ入れ替わりながら手弁当で運用し、会期中の安定したネットワーク提供に向け試行錯誤してきた。

最初に直面したのがネットワークの輻輳だった。WISS参加者は最大200人だが1人1台のPCに加えて様々なデバイスも併用する。加えて、「多くの参加者がインストールしていた特定のアプリケーションが思いがけず定期的にブロードキャストをかける仕様だったため大きな輻輳が発生したし、セッション数も消費するためNATテーブルがいっぱいになってしまった」。

WISS
WISSは、毎年会場を変えつつ2泊3日の合宿形式で行われるワークショップで、
最大200人の参加者が利用するインターネット接続環境を提供。
数年おきに担当者が入れ替わる中、安定した接続環境を実現している

そこでまず、WISS参加者の多くがインターネット接続に利用できる「日常生活」と動画配信を分割して、用途毎に回線とセグメントを分けた。動画配信用にはRTX1200を用いて安定化を図った。さらにWISS 2012では、セグメントを複数に分割して適切な規模に収める考えからと、「キャッシュを活用してなるべく外部に迷惑をかけないようにしたい」という考えから、L3スイッチとプロキシサーバの機能が同時に果たせるソフトウェアルータ「VyOS」(当時はVyatta)を採用した。

月刊テレコミュニケーション2018年12月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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