企業ネットワーク最前線

「自席に縛られない働き方」に向けてアトックスが実行した3つのこと――クラウド化、脱・固定電話、iPhone

文◎太田智晴(編集部) 2014.11.04

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原子力発電所などで放射線の取扱業務を行うアトックス。震災と原発事故を契機にワークスタイル変革の必要性を痛感した同社は、社内システムのクラウドへの移行、脱・固定電話、そしてiPhoneの活用などを通じて今、「自席に縛られない働き方」の実現に取り組んでいる。

クラウドが牽引する社内システム活用の“いつでもどこでも”化

アトックスが社内システムをクラウド化したのは、可用性向上だけが狙いではない。業務の効率化とスピードアップ、そしてBCP対策のためのワークスタイル変革もその目的としてあった。

以前は、各拠点のローカルサーバーなどにファイルを保存しておくことも一般的だったというアトックス。しかし現在は、クラウド上にファイルを置くことを従業員に推奨している。必要な情報に、いつでもどこでもアクセスできるようにするためだ。

「例えば従来は、別の拠点に出向く際、必要な資料一式を印刷してから出掛けていました。しかし今は、必要なファイルがクラウド上にあり、どの拠点からもアクセスできますから、事前に印刷する必要はありません。その拠点の空いているPCにログインし、印刷すればいいのです」(五井氏)

こうした“場所”に依存しないIT環境は当然、災害時などにも役立つ。ある拠点が被災しても、従業員は近隣の別の拠点に行けば、社内ポータルやグループウェア、メールなど必要な情報にアクセスでき、業務を継続できるからだ。また、電話がつながりにくい状況でも、クラウドにアクセスできれば情報共有が行える。上野氏が目指した情報共有手段の多様化が、クラウドへの移行により前進したのだ。

 

会議でも活躍するiPhone
会議でも活躍するiPhone。アトックス本社では、iPhoneを大型ディスプレイにつなぎ、プレゼンなどにも活用しているという

 

原発事故後、不可欠となったモバイルワークスタイル

自席に縛られないワークスタイルをさらに推進するため、アトックスではモバイル環境の整備も進めている。震災後から、必要な従業員にはノートPCとモバイルWi-Fiルーターを支給していたのに加え、本社移転を機にiPhoneの試験導入もスタートした。都市部から離れた地域に多い放射線施設におけるカバレッジを考え、モバイルWi-FiルーターやiPhoneもKDDIを採用している。

五井氏によると、アトックスでは従来、モバイル環境をほとんど用意していなかったそうだ。同社の拠点の多くは、原発の敷地内にある。つまり、作業現場やクライアントとのミーティング場所は徒歩で数分の距離。IT環境のある事務所にすぐに戻れるため、スマートデバイスなどを導入する必要性は低かったのである。

しかし原発事故で、これが一変する。「今までは福島の構内だけで仕事が済んでいましたが、現在は原発の外での仕事のほうが圧倒的に多くなっています」(上野氏)。除染活動のため、業務エリアはこれまでの徒歩圏内から、車で1時間以上も当たり前になった。

また、以前はあらかじめ決まった計画の中で業務を進めることが多かったが、原発事故後は、至急の判断や対応が必要なケースが急増したという。

外出先でもメールやその添付ファイルなどをタイムリーに確認し、クイックにレスポンスできるワークスタイルが不可欠になったのだ。

そこで現在は試験導入として、出張・外出が特に多い本社と福島の社員約60名にiPhoneを支給。「将来的にはノートPCからiPhoneへの移行も進め、全社員にiPhoneを導入したいと考えています」と上野氏は話す。

 

アトックス アトックス
iPhoneからクラウド上にある社内システムにリモートアクセスした画面。iPhoneにより、いつでもどこでも社内システムを利用できるようになった。各拠点の回線が万一ダウンしてもiPhoneを使って情報共有などが行えることから、BCP対策の観点でも期待しているという



iPhoneやノートPCからクラウド上の社内システムへのアクセスには、リモートアクセスサービス「KDDI Flex Remote Access(FRE)」を利用している。ID/パスワードと端末証明書による二要素認証で、セキュリティを高めている点などが特徴だ。

 

脱・固定電話で、電話も“自席に縛られない”

アトックスではもう1つ、本社移転に合わせて大きな改革を行っている。それは、オフィス内の固定電話機をほとんど撤去したことだ。

以前も約半数の社員に社用ケータイを配布していたが、全社員に支給。オフィス内には、代表番号用の固定電話機を“島”ごとに2台ずつ程度残し、あとはケータイですべての通話を行うようにした。iPhone以外のユーザーには、KDDIのフィーチャーフォンを支給している。

「当社の仕事は出張が多く、以前から固定電話があまり意味をなしていないという状況がありました。そこで今回、全員にケータイを持たせ、固定電話はほとんどなくすことにしたのです」(上野氏)

電話環境をケータイ化するにあたっては、KDDIの「オフィスケータイパック」を活用している。オフィスケータイパックとは、ケータイ1台で電話番号も通話料も固定電話と同じように利用できるサービスだ。KDDIの固定電話およびケータイ向けの通話はすべて無料。また、KDDI以外への通話料も固定電話並みとなる。自席に縛られないワークスタイルを実現するための法人向け電話ソリューションである。

アトックスでは社員間の通話が全体の4割を占めていたが、オフィスケータイパックの導入により、その通話料が定額化。また、総務部の高橋聡子氏は、電話の取次にかかっていた負担が大幅に軽減されたと実感しているという。

「以前は、代表番号にかかってきた電話を担当者に回しても、自席にはおらず、取り次げないケースが多くありました。しかし固定電話からケータイに移行した今は、担当者がどこにいても電話を取り次げるようになり、大変効率的になりました」

今後はさらに、iPhoneを活用したWeb会議などの導入も見据えるアトックス。情報共有手段の多様化を推し進め、一層の業務スピード向上とBCP対策の強化を目指していく。

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