[シリーズ]ICTを活用して風土改革に挑む! <第1回>【東京海上日動システムズ】社内SNSが“縦割り意識”一掃

ICTツールで企業風土は改革できるのかを探るシリーズ第1回は、社内SNSや社内Twitterを使いこなして“縦割り意識”の払拭に成功した東京海上日動システムズの取り組みをレポートする。

社内Twitterで“お助け”

2010年2月、同社は社内Twitterという新たなICTツールの活用も始めた。自社開発した社内Twitterの名称は「おたすけったー」。「質問や回答を通しあらゆる問題の早期解決と相互協力のリレーションづくりのための社内Q&Aサイト」と位置づけられている。

東京海上日動システムズの社内Twitter「おたすけったー」の画面
東京海上日動システムズの社内Twitter「おたすけったー」の画面

社内Twitterに「困ったこと」を投げかければ誰かが答えを教えてくれる。それがQ&Aサイトの基本的な効用だ。注目すべきは、「リレーションづくり」という言葉だろう。社内Twitterの活用を提案した河野氏は次のように話す。

「パブリックなTwitterはフォローしないとつぶやきを継続的に見ることができない仕組みだが、当社の社内Twitterは全員のつぶやきを一覧で見られる。そのため、役職や年齢を気にせずにいろいろな人が持っている情報を知ることができる」

Twitterの特徴はメッセージ量が140字と少なく、書き込む側にとってのハードルが低いことだ。それゆえ多くの情報が活発に発信され、社内SNSとともに組織を越えて社員がコミュニケーションする場となっている。例えば、「ある社員がおたすけったーに『仮想化に関する本を探している』と書いたところ、『この人が詳しい』と紹介するといったことが普通に行われている」(河野氏)。回答を知らなくても、回答をもっていそうな人を知らせてくれるのだ。

経営層が全社員に情報発信

ワークスタイル改革活動に端を発した風土改革の推進力になったのは経営層だ。なかでも、横塚裕志社長の存在は大きい。横塚社長はワークスタイル改革委員会のメンバーに対して「何でもやりたいことをやってみろ」と全面的にバックアップした。横塚社長自身も社内SNSにプライベートなことを頻繁に書き込んでいる。経営層が社内SNSの活用・普及を牽引しているのだ。

2010年5月には、「フラットな情報共有を浸透させたい」という横塚社長の意思のもと、役員がメッセージを書き込むコーナー「オープンテラス」がイントラネットに開設された。そのサブタイトルは、「私はこう感じ、こう考えた」。社長をはじめ役員が、誰と会ってどんなことを話したか、どんなことを考えてどのように判断をしたのかを書き込む。オープンテラスに投稿できるのは役員のみだが、社員は誰でも役員の投稿を閲覧してコメントすることが可能だ。社員はオープンテラスにアクセスすることによって日々、社長や役員の考えや判断の方法・基準に触れることができる。「現場の社員の判断で仕事が回る会社にしたい」という横塚社長の思いがオープンテラスという形になったという。

経営層が発信するオープンテラス。社員がコメントできる対話性が階層を越えて全社的な価値観の共有をもたらす
経営層が発信するオープンテラス。社員がコメントできる対話性が階層を越えて全社的な価値観の共有をもたらす

オープンテラスの特徴は、トップのメッセージが階層を徐々に降りて伝えられる従来の仕組みと一線を画し、社員1人ひとりにダイレクトに伝えられる直接性にある。ICT活用の効用といえる。そして、経営層が発信したメッセージに対して社員がコメントできる対話性が運用上での特徴だ。直接性と対話性をもつツールが階層を越えて組織としての価値観を共有する場を生み出している。

月刊テレコミュニケーション2011年1月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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