クアルコムが解説する「5Gミリ波を急ぐべき理由」

5Gの目玉でありながら、日本国内では利用できるエリアがなかなか広がらないミリ波だが、世界ではどれほど使われているのか。新世代SoC/RFモデムの開発によってミリ波の普及を後押しするクアルコムが、同社の最新の取り組みと世界の“ミリ波事情”について説明した。

「ミリ波を制したものが、6Gのリーダーシップを取ることができる。現在は5Gのエリア展開が最優先となっているため、ミリ波の普及は思わしくないが、官民が一体となってミリ波のインフラ、端末、サービスの利活用を徹底的に図ることが、6Gの基盤になる」

クアルコムジャパンが2022年6月8日に開催したメディア向け説明会で、代表社長の須永順子氏はそう述べた。

クアルコムの須永順子社長は、「5Gミリ波の普及は、通信事業者に投資効率と品質向上をもららす」と強調した
クアルコムの須永順子社長は、「5Gミリ波の普及は、通信事業者に投資効率と品質向上をもららす」と強調した

「ミリ波」とは、5Gで使われる28GHz帯のこと。広い帯域幅を活かした超高速通信が可能になるというメリットがある反面、電波の直進性が高く扱いにくいことから、期待されたほどには普及していないのが現状だ。

同説明会では、この状況を打開するためのクアルコムの取り組みと、ミリ波の活用によって通信事業者が得るメリットについて解説した。5Gでは今後、より高い周波数帯である71GHz帯の導入も計画されていることに加えて、次世代の6Gでもミリ波の活用は大きなテーマとなる。

「SA・ミリ波」端末は2022年末に
日本では、全4事業者がすでにミリ波のサービスを開始しているが、使えるエリアはまだ限定的だ。ただし、その超高速通信を利用するためのデバイスの準備はかなり整ってきている。

クアルコムジャパン 代表社長の須永順子氏(左)と、 Qualcomm France S.A.R.LでVice President, Business Developmentを務めるフィリップ・ポジアンティ氏
クアルコムジャパン 代表社長の須永順子氏(左)と、
Qualcomm France S.A.R.LでVice President,
 Business Developmentを務めるフィリップ・ポジアンティ氏 

須永氏によれば、ミリ波をサポートする5Gデバイスは、50以上のメーカーから合計150以上の製品が市場に投入されている。スマートフォンのみならず、PC、ホームルーター等で使われるCPE(宅内通信装置)、通信モジュールも揃ってきている。

クアルコムも中核製品であるSoC「Snapdragon」でミリ波対応を進めてきている。ミリ波のさらなる普及を後押しするため、先頃発表した最新製品が5G対応のモデム「Snapdragon X70 5G Modem-RF System」(以下、X70)だ。

Snapdragon X70の概要
Snapdragon X70の概要

X70は、600MHz帯から41GHz帯の全ての商用5G周波数をサポートしており、「初めて、SA(スタンドアローン)でのミリ波が可能」(須永氏)なRFモデムだ。検証では、ピーク時のスループットで下り8Gbpsを達成している。

サンプル出荷もすでに始めており、2022年末までには、X70を搭載した5G端末が登場する予定だという。

 

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