「天地人」で地域DXへ 栃木県に新IX「TOCHIGIX」誕生

首都圏にコンテンツもトラヒックも集中する中、栃木県で地域でトラヒックを交換する地域IXの取り組みが始まった。大手CDN事業者とのピアリングやトラヒック削減などの効果を生み出している。

2020年11月、栃木県に新たな地域IXである「TOCHIGIX(トチギックス)」が生まれた。地域IXとはその名の通り、地域にあるIX(インターネット相互接続点)のことで、ISPなどがトラヒックを交換して相互接続する場所である。

インターネットトラヒックはその7割が東京に集中し大手IXも多くが東京に拠点を構える。多くのクラウドサービスなどのコンテンツは東京のデータセンターにあり、人材も東京に集中しているためだ。東京以外もそのほとんどは大阪にある。

動画コンテンツの普及、コロナ禍などで日本のトラヒックの増え方は加速傾向にあるが、このトラヒック増の影響を特に大きく受けているのが、東京・大阪のIXから離れた地域ISP事業者である。

インターネットに接続する為には、基本的にISP事業者はIXであったりトランジット回線といった上位回線を利用する事になり、追加でコストが発生する。コロナ過でやむなく増強を図る事業者が多く発生した。

こうした状況を打開する仕組みの1つとしてCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)がある。CDN事業者は通常、東京・大阪のようなトラヒックが集まるポイントのデータセンター等にCDNキャッシュサーバを設置しているが、このキャッシュサーバについては「ISP事業者が設置を希望しても全てが通るわけではない」とケーブルテレビ株式会社(以下、ケーブルテレビ)の日里友幸氏は話す。コストパフォーマンスを考えると、CDN事業者も首都圏のIXや比較的ユーザー数の多いISPの域内にしかキャッシュサーバーを設置できないのが実状だ。

ケーブルテレビ 技術部 伝送システム課・通信システム課 課長 日里友幸氏
ケーブルテレビ 技術部 伝送システム課・通信システム課 課長 日里友幸氏

こうした現状を改善するため、栃木県でISP事業も営むケーブルテレビ事業者は2020年6月、総務省の令和二年度「トラヒック流通効率化に向けた集約ISPに関する調査研究の請負」を受注し、地域IX「TOCHIGIX」の構築および効果測定に乗り出した。

月刊テレコミュニケーション2021年11月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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