「Wi-Fiが持つベネフィットに基づいた、新たなIoT向けテクノロジーだ」
Wi-Fi規格の業界団体であるWi-Fi Allianceでマーケティング担当シニアバイスプレジデントを務めるケビン・ロビンソン氏は、2021年12月2日に開催した記者説明会で新規格「Wi-Fi CERTIFIED HaLow」(ヘイローと読む。以下、Wi-Fi HaLow)について、こう紹介した。
Wi-Fi HaLowは、IEEE(米電気電子学会)で2016年に標準化された「IEEE802.11ah」規格について、Wi-Fi Allianceが設けた呼称だ。以前から技術仕様等は公開されていたが、2021年11月2日にWi-Fi Allianceが、相互接続性を担保するための認証プログラムを開始した。認証を取得した製品であれば異なるメーカの製品同士であっても接続が保証されるため、ユーザーは安心して使えるようになり、対応製品の普及にも弾みが着くことが期待される。
Wi-Fi HaLowの特徴は、IoT用途で必要とされる「長距離通信」「低消費電力」の2つだ。
2.4GHz帯や5GHz帯を用いる既存のWi-Fiとは異なり、Wi-Fi HaLowはサブGHz帯(日本国内では920MHz帯を想定)を使う。回析特性の高い周波数帯を活用することで電波の到達範囲が広がり、かつ、壁等の障害物が多い環境でも通信が途切れにくい。ロビンソン氏によれば「約1kmの長距離通信が可能で、壁なども貫通するため強固な接続性を提供できる」。
Wi-Fi Alliance マーケティング担当シニアバイスプレジデントのケビン・ロビンソン氏
その分、Wi-Fi 5/6と比べて伝送速度は劣るが、それでも伝送距離に応じて数Mから数十Mbps程度の高速通信が可能だ。
伝送距離が数mの場合で最大80Mbps、1kmでも150kbps程度の伝送速度が出せるという。センサーデータの収集や軽量な画像・映像データの伝送には十分な性能を持ち、これがSigfoxやLoRaWAN、NB-IoTといったLPWAと比べた優位性となる。
他のIoT無線通信技術との比較
低消費電力に関しては、アクセスポイント(AP)と端末間でやり取りする制御信号の間隔を広げたり、通信時のみに起動する間欠動作の機能を加えることで実現。使い方にもよるが、「コイン電池1つで数か月、あるいは数年にわたってデバイスをサポートできる」(同氏)。